三十二 ページ32
「…さっぱりわかんねぇや。」
「高杉の考えてることなんて俺たちに理解できるわけねぇだろ?中二をとっくに卒業してる俺たちにゃ想像できねぇ世界なんだよ。」
結局何の答えも得られないまま、俺も旦那も団子を食い終わる。
先に席を立ったのは旦那の方で、「ごちそうさん。」と片手を上げて人混みに消えてしまった。
―――作戦の決行日は、そう遠くない。
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真選組の一隊士であるあいつが”高杉、女”という二つの単語を口にした時、まさかとおもった。
動揺を悟られないよう全力で平然を装う。相手は何せあの異常に勘の鋭いお巡りさんであるからして、少しでも気を抜けば内心をまるまる読み取られかねないのだ。
始めは単なる可能性に過ぎなかった疑念が、団子を食べ終わる頃には確信に変わっていた。
遠回しに投げかけられるいくつかの質問から導き出される答え。
高杉が執着する女なんて、俺は一人しか知らない。
幼少のころから高杉の奴がひそひそ何かしているのは知っていた。
攘夷戦争中、極稀にふらりとどこかへ消えていくことも。
ただ、それがある女との逢瀬の為であったことを知ったのは、攘夷戦争で俺たちが敗北した後の話だった。
いつも恰好付けていていけすかねぇ高杉でさえ、やはり一人の人間であり男なんだと痛烈に感じたことを覚えている。
敗北し、片目を失い、絶望の底に叩きつけられていた奴をさらに襲った悲惨な現実。
奴が愛した女がずっと俺たちの動向を観察し、得た情報を天人共に横流ししていたことが発覚したのだ。
高杉を愛していた女が裏切ったのか、
初めから高杉など愛していなかったのか、俺には分からない。
ただ途方もない自己嫌悪に苛まれ、女を罰することでその苦しみから逃れようとする高杉を、俺たちは止めることができなかった。
ヅラと坂本と俺の三人が居ぬ間に、高杉が捉えていた女を部屋から引きずり出したのだ。
精神的疲労が皆限界を迎えていたことも拍車をかけたのだろう。
俺たちが気が付いた時には、既に女の姿は消えていた。
『おい高杉!彼女を何処へやった!』
『...るせぇな。ヅラてめえには関係ねえだろ。』
『いいからどうしたと聞いてるんだ!』
問い詰めるヅラの手を振り払うと、乾いた笑い声を零す。
『あの女なら売り飛ばしてやったよ。今頃ァ宇宙のどっかで楽しく暮らしてんじゃねぇのか。』
多分あいつは高杉が一生で唯一固執する女だと思った。
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高杉さん最近出番ないですねすみません。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時