【銀魂】高杉さんに閉じ込められた部屋でのお話

二十六 ページ26

「この間しょぴいた宇宙犯罪組織の下っ端、覚えてるか？」

「あーあの雑魚どもですかぃ。」


確か一週間前ほどだったか。
不信な動きを見せていた男数人を攘夷浪士と思い、一番隊が隠れ家に切り込んだのだ。
相手をよく観察してから行動に移せと土方さんには後で再三言われたが、結果的にその辺の攘夷浪士とは比べ物にならない程大きな魚を釣り上げてしまったらしい。

攘夷浪士に扮し街を暗躍していたのは、ある宇宙犯罪組織に雇われた物達。
犯罪者が犯罪者に成りすましていた訳だ。


地球で雇われただけの男たちは拷問にかけると即座に情報を吐いたと言う。



「そいつらが口にした名が、"野崎家"だ。」

「......どういうことだ近藤さん。もう昔の話だろ。」



どうやら土方さんはそのなんちゃら家について知っているようだった。



「んですかぃそれ。」

「総悟は知らないか。...まだ江戸が天人の脅威を知らなかった頃から天人に肩入れし、江戸を奴らに引き渡すに一役かった商人の家のことだ。」

「祖国を、いや。自分の生まれた星を売るたぁ大した度胸のある連中な事で。」

「確かに。何でも利益の為なら手段を択ばない人たちだった様でな。天人が地球に目を付けた時点で、野崎家の人たちは幕府側の敗北を悟っていたんだろうよ。」

「端っから天人共にしっぽ振って、甘い蜜吸ってたって言うんですかぃ。」




俺にとっては歴史の教科書を読んでいるような感覚だったが、地球に江戸に生まれた人間としてはいい気はしなかった。


「周囲から売国奴と罵られても、やはりその見返りとして天人たちからもたらされる利潤は相当な物だったんだろうな。幕府を裏切っていたことが判明したのは、完全に天人に降伏した後の話だ。」


頭の切れすぎる金の亡者集団。自分の住まう地すらもどこぞの誰とも分らない連中に売りつけてしまうとは、恐らく常人には理解できない範疇の思考だと思った。
しかし一つ引っかかる点がある。


「でも近藤さん、俺ぁ今までそんな家の名聞いたことありやせんでしたぜ。」

「それがな。攘夷戦争が終わり江戸が今の状況に大分近づいたころ...野崎家は国家反逆罪で一族もろとも潰されている。」

「は？」

「要するに、捨てられたんだよ。野崎家を元の政府連中は勿論よく思っていなかっただろうし、加えて野崎家が加担してきた天人の上層部も用済みだと判断したらしくてな。」

適当な罪をなすりつけて、一家全員皆殺し。
胸糞悪い話だった。

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