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〈prequel〉孤独な吸血鬼 ページ50

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吸血鬼になったきっかけはもう記憶も遠い七十年前の大邱で、夜遊びをしている俺に話しかけてきた乞食のような男が俺を噛んだから。
噛んでからすぐに消えた男は今でも何処にいるかわからない。
突然与えられた永遠の命と、ものを食べても食べても満たされない謎の飢餓感に苦しむ俺を助けてくれたのはソクジンさんだった。


「テヒョンは吸血鬼になっちゃったんだね」


そう言われてすぐに、あ〜俺って吸血鬼になっちゃったんだって思った。だって、渡されたビニール袋に入った血が美味しそうに見えたし、実際すごく美味しかったから。
だから、別に血を飲むことはどうってことなかった。元々野菜は嫌いだし、肉屋で働いてれば血なんか勝手に手に入ったし。

ただ、困ってしまったのは永遠の命の方。
腕を切ってもビルから落ちても死なない体と、いつまで経っても中学生のような見た目。
せっかく友達が出来ても、時間が経てば気味悪がられてしまって、その度に俺は律儀に傷ついていた。

結局居場所かなくなって仕方なく大邱を離れ、ソクジンさんと色んな国を渡った。
でも、それから二十年経った頃、そろそろ独り立ちだと言ってソクジンさんは俺をナムジュン先輩たちに引き合わせて何処かに消えた。

ジミンに会ったのはそんな頃だったと思う。
俺は久しぶりに出来た友達に浮かれていて、毎日二人で色んな楽しいことをした。
離れる時には「こんな毎日が一生続けばいいのに」って思って、どこか寂しい気持ちにもなった。
別れが悲しいから、永遠の命なんて要らないと思ったけど、俺は死ねない体だし、本当のところを言うと死ぬっていうものが漠然と怖かった。

そんな俺のずるいところを、ジミンは見透かしていたのかな。

ある日、好きな人が死んだから辛いんだと言って泣いていたジミンに、何か慰めになるものをと思って噛んだのが全ての間違いだったと思う。
心の中ではどこか打算的に、これでジミンが俺と一緒に居てくれたらいいのにって思ってたから。
噛んでしまったのだから、このまま一緒に生きるしかない。そう思ってくれるだろうってどこか信じていた。

そんな俺のずるいところを、知ったのかもしれない。


「僕は永遠なんて要らなかったんだよ」
「一緒に生きる覚悟が出来なくて……ごめん」


と言うのがジミンの最期の言葉だった。

その時分かったんだ、俺は誰かにずっと一緒にいて欲しいんだってこと。

そして、永遠に一人で居るということが、すごく怖いんだってことを。

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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント&読了ありがとうございますー! 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです!楽しみにしています! (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす!その後の進展(?)した二人も書きますね〜!読んでくださってありがとうございました! (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分(他メンのエピソードとか)色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜!ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜!完結しましたね!今回は推しということもあり楽しませていただきました!続編、見たいです!!基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sai | 作者ホームページ:https://twitter.com/xxx___sai/  
作成日時:2019年8月29日 11時

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