04.栄養ゼリー ページ4
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詳しいことは放課後に話す……とナムジュン先輩はそう言って、私とキムテヒョンを生徒会室から出してくれた。
廊下に取り残されたのは、無言の私とキムテヒョン。
チラッチラッとこっちを向いては眉をへにょりと下げるキムテヒョンを見て、私は長い長〜〜い溜息をついた。
「……もう、人間に戻れないってことでしょ」
「うん……」
「じゃあ仕方ないよね」
深く考えずとも、仕方の無いことなんかひとつもないけれど、今の私に言えることはこの一言だけだった。
元に戻せないとナムジュン先輩は言ったし、戻れないなら受け入れる他に道はない。
"人外"……つまり人ならざる者としての実感がまだないから余裕をかましていられるのかもしれないけれど。
自分に言い聞かせるように言ったその一言は、何故かキムテヒョンの顔を輝かせた。
「あ、ありがとうA……! 昨日から本当にどうしよお〜って思ってて!」
「うーん、真剣味が感じられないんだよねえ」
「ほんとだよお〜!」
キムテヒョンは教室に帰るまでの間、昨日いかにお腹が空いていたのかを物凄く真剣に話していた。
「本当は人間の血は飲まない主義なんだけど……」
「え? じゃあ普段のご飯どうしてるの?」
「俺、ベジタリアンだから」
「え? 野菜でいいの?」
「違うよ〜! 豚とか〜牛とか〜」
「肉の話?」
「え? 血の話でしょ?」
か、噛み合わない。話が全然噛み合わない。
「えっと、つまり、普段は人間の血じゃなくて豚とか牛とかの血でなんとかしてて、それが吸血鬼界隈だとベジタリアン的な感じってこと?」
「そう」
「そう……」
昨日の話を聞き出すだけであっという間に教室に着いてしまった。
他にもいっぱい聞きたいことがあったのに! 不死とか不死とか不死とか!!!
これはきっと放課後にナムジュン先輩に色々聞いた方が話は早いに違いない。
「……責任とるね」
「オネガイシマス」
どこかふわふわ〜っとした雰囲気のキムテヒョンの口から出たなんとも頼りない責任というワードにぎこちなく頷く。
するとキムテヒョンは「はい」といってポケットから銀色のパウチに入った栄養ゼリーを取り出した。
そういえば、キムテヒョンはよく教室でこういうの食べてる(飲んでる?)姿をよく見かけてた。好きなのかなあ……
「あ、ゼリー? ありがと」
「え? ゼリーじゃないよ」
「え?」
「これは中に牛の……」
……血ですね
いきなり渡されたパウチ入の牛の血液に持ってる手がガタガタ震えた。
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント&読了ありがとうございますー! 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです!楽しみにしています! (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす!その後の進展(?)した二人も書きますね〜!読んでくださってありがとうございました! (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分(他メンのエピソードとか)色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜!ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜!完結しましたね!今回は推しということもあり楽しませていただきました!続編、見たいです!!基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sai | 作者ホームページ:https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時:2019年8月29日 11時