15.情緒不安定 ページ15
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｢うっ……｣
｢あ、ダメだって！ 戻さないで！｣
｢むぐっ……｣
ぎゅっと頬を掴まれてタコの口にさせられる。むっとした顔のテヒョンはそのまましばらく私が抵抗をやめるまでそうして口を抑えていた。
｢……飲んじゃった｣
｢でも、すぐ体調良くなるよ｣
｢でも、飲んじゃった……｣
気持ち悪さが落ち着いて、心無しか満腹感のようなものを感じ始めた瞬間、私はボロボロと涙を零していた。
血を飲んで満腹感を得て初めて、私は自分が吸血鬼とかいう人外の化け物になってしまったんだと分かったから。
口を通り抜けていった液体は不思議と不味くは感じなかった。むしろ美味しいとさえ思った。
今までのストレスと色んな衝撃がぐちゃぐちゃに混じりあって、私はとうとうキャパがオーバーしたんだろう。
｢う〜〜〜っ｣
｢そんなに不味かった？｣
嗚咽を漏らす私の顔を覗き込むように見ながら、困った様子でそう聞いてくるテヒョンの肩をバシバシ叩く。
｢そんな単純なことじゃない！｣
｢じゃあ痛い？｣
｢違う違う違う｣
気持ちは受け付けないのに、体が受け入れる感覚。変わってしまった自分の味覚と、生まれて初めてのキスと生々しい舌の感覚と、そしてこれからどうなるんだろうという不安と。
それもこれもみんな目の前の男のせいなのに、本人のイマイチ憎めない感じが、私の感情の出口を失わせる。
｢色んなことが一度に起こりすぎて、どうしたらいいかわかんないの｣
一度溢れ出した涙は収まる様子はなかったし、ボロボロ泣く私を見たテヒョンは想像以上に狼狽たえている。
テヒョンにとっては私が突然泣き出したかのように思うんだろうけど、私にとってはここ二週間考えないようにしていた漠然とした不安が一気に押し寄せている。
｢一人にして｣
｢でも……｣
｢……お願い｣
ナムジュン先輩は慰謝料もくれるし、社会的な保障もしてくれると言ったけれど、私の心の保障については何も言わなかった。
受け入れるしかないと分かっているけど、こうして自分の異変を体感すると急に恐ろしくなった。
テヒョンはしばらくオロオロと私の周りをぶらついて、それから黙って生徒会室を後にした。
パタンと静かに扉の閉まる音が聞こえて、私はそっとその場に蹲る。
そしてしばらく泣いた後、教室に鞄を置いたまま私は帰ることにした。
教室でテヒョンに会うのも嫌だったし、とりあえず帰って寝たかったからだ。
――でも、それが大きな間違いだった。
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント＆読了ありがとうございますー！ 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです！楽しみにしています！ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす！その後の進展(？)した二人も書きますね〜！読んでくださってありがとうございました！ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分（他メンのエピソードとか）色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜！ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜！完結しましたね！今回は推しということもあり楽しませていただきました！続編、見たいです！！基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年8月29日 11時
