〈taehyung〉半吸血鬼の不幸 (ページ23)

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22.傍観者ではいられないページ23

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｢……はあ、なるほど。そういうこと｣
｢そういうこと｣
｢――つまり、私はテヒョンへの当てつけってこと？｣

そもそも逃がすつもりもなかったのが分かって、私は降参する事にした。
全裸のジミンもお構い無しに、突然告げられたお嫁さんについて聞くことにしたのである。

そして分かった事は、ジミンが何らかの理由でテヒョンを恨んでいること。
恨んでいるから私を使って精神的に痛めつけてやろうと画策し、結論として私をお嫁さんにしようと思いついたということ。

｢……慎んで、お断りします｣
｢ええ～っ！｣
｢いや、だって、私のメリットが何も無いじゃん！結論が私をお嫁さんにするとかもっと意味わかんないし｣

何が"捉えようによっては僕は君の味方"？
全然メリットがないんですけど。

｢そもそもジミンは私の事が好きな訳じゃないし、私もジミンが好きじゃない。だから結婚なんかしたくもないし、家に帰りたいんだけど｣

スパッとそう言い切ると、少したじろいだジミンが｢うええ｣と情けない声を上げた。
なんかこういうところテヒョンに似ている。同族嫌悪ってやつ？

｢でもさあ？僕はテヒョンを消そうと思ってるし、テヒョンが居なくなったらAちゃんを守ってくれる人も居なくなるじゃん？ただでさえAちゃん美味しそうなのに、どうやって一人で生きていくの？｣
｢うっ……いや、でもその代償がジミンと結婚ってどっちもどっちじゃない？｣
｢そこまで嫌な訳？！｣
｢むしろ、今までの私への仕打ちの中で、よく自分の方がマシだって主張出来るよね……｣

ハア～ッと溜息を吐いて見せると、ジミンはグッと押し黙った。どうやらテヒョンよりかは道理が通じるらしい。

｢なんでソクジンさんもこの事知ってて黙ってるの？ソクジンさんもテヒョンのこと殺そうとしてる訳？｣

顰めっ面のままそう問うと、ジミンは困ったように笑った。

｢いや～、それがね、最初はテヒョンにちょっと意地悪するって嘘ついてたからさあ……殺そうとしてたのバレちゃって怒られちゃったんだよ｣
｢それがさっきの喧嘩ってこと？｣
｢そ。でも、僕は不死王だからさ、いくらヒョンでも僕には勝てないし、ヒョンもそれを分かってるからAちゃんの事は見捨ててる訳｣
｢私、見捨てられてたの？｣
｢うん｣

……私、見捨てられてたのね。
やたらと歯切れの悪いソクジンさんの受け答えを思い出し、謎の納得とともに呆れのような虚脱感がずっしりと両肩に乗った。