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02.二度あることは三度ある ページ3

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「――ほらね……」


私はその呟きを数時間前のテヒョンへとぶつけた。
ナムジュン先輩とは連絡が着かず、テヒョンは一日不機嫌で、私の頭の中は謎の魔王復活祭でいっぱい……という混乱極まる状況のまま家に着いて時刻は日付が変わりそうな頃合。

――目の前に映画ばりのリアルなゾンビが居ます


「なんでなの……」


ア〜とかウ〜とかリアルめな呻き声と共に家のリビングを占拠しているゾンビは十体。三十分前からウロウロと私の周りを囲ってはグルグルと回っている。
ピンポンも鳴らさず突然玄関からお行儀よく入ってきたゾンビ達に私は悲鳴を上げた。
最初はギャーギャーと叫んで逃げ回っていたけど、時間が経つにつれて襲ってこない事に気がついて。
それからは少しだけ開き直った。
(輸入モノの怪物って本当に塩で魔除けできるのか、とか)

案の定スマホは圏外。いつしかのソクジンさん襲来の時を髣髴とさせる状況。
願わくば、テヒョンでもジョングクくんでも誰でもいいから私のピンチを察して来てくれることだけど、どうしよう。


「――たすけはこないよ」
「っっっ???!!!!」


びっくりした。思わず腰を抜かした。
声が聞こえてきたのは天井からで、しかも姿は見えない。
女の子のような高くて、どこか舌足らずのそれは今の状況に合わなすぎて逆に怖かった。


「だ、誰ですか……」
「とりあえず、言うことに従ってくれる?」
「あ、その声はソクジンさん!?」


天井がスマホにでもなったんだろうか。電話のように繋がった天井の先には聞き覚えのあるソクジンさんの声がする。


「ちょっと、どういうことなんですかコレ」
「いや〜…………まあ、ごめんね。とりあえずゾンビに襲われてくれないかな?」
「は?」


相変わらず突拍子もない上に物騒すぎる会話をする人だ。
ゾンビに襲われろ、という言葉のままに正面を向けば、先程とは打って変わってやる気マンマンのゾンビ達がいきり立っている。


「また齧られるんですか?!」


不死身の体とはいえ、齧られれば相応に痛いし血も出る。
自分の部屋を汚される訳にはいかないし、痛いのなんかそれ以上にごめんです。
咄嗟に金属バットへと手を伸ばし、ファイティングポーズをとった。


「ハハ!」
「面白いでしょ?」
「おもしろいね、ヒョン!」


天井から観戦しているらしいソクジンさんともう一人の無邪気な笑い声に殺意が沸いた。


「ま、とりあえずがんばって」


その一言で一斉にゾンビが襲いかかってきた!

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作者名:sai | 作者ホームページ:https://twitter.com/xxx___sai/  
作成日時:2020年7月16日 18時

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