49.そんなこと ページ49
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｢ここはジョングクんちで〜｣
というなんとも緊張感のない口調でテヒョンはこれまでの流れをつっかえつっかえ話し始めた。
父に力を分け与えてぶっ倒れた私を担いで二人が逃げたこと。
ソクジンはその二人を見ながら｢また今度｣と言ったこと。
そっから二人は私の家には帰らず、"旦那様"権限でジョングクくんちに寝かせられて、父共々一週間ほど眠り続けて、今に至るらしい。
一週間って。
｢私、そんなに寝てたの？｣
｢うん、だからもう起きないんじゃないかって｣
｢……お風呂入ってない……！ テヒョン、ちょっと離れて！｣
｢ええ！｣
｢ヤダ……ちょっと……色々……色々どうしよう……｣
｢とりあえず、ジョングク起きたらお願いしなよ｣
拗ねたように唇を尖らせて、テヒョンはそっぽを向いた。
色々汚い自分にショックを受けていた私だったけど、その様子を見て少しだけ反省。
テヒョンにすごく心配かけてしまったらしい。
｢……テヒョン｣
｢なに？｣
｢ありがとね｣
｢……うん｣
今は色々と汚いのでハグとかは自重したけど、気持ちを込めて肩を叩けばテヒョンははにかんで笑ってくれた。
｢あと、ごめんねA｣
｢ん？｣
｢お祭りのお寿司……ほんとは取ってあったんだけどさ、腐っちゃった｣
しょぼんとした様子で何を言い出すのかと思いきや、いつしか言った｢お寿司が食べたい｣という私との約束。
色んなことがありすぎて、自分でも忘れていたそれを律儀に覚えてくれてたらしい。
｢……お寿司なんか｣
ほんのじゃれ合いのつもりだった。
どうせお祭りにはいけないんだし、という私のささやかな嫉妬心から生まれた他愛ない話。
でも、テヒョンはちゃんと覚えててくれた。あの日の夜、テヒョンはきっと私にお寿司を持ってきてくれたんだ。
そう思うと、何故か涙が滲んだ。
｢テヒョン〜〜｣
｢そんなに食べたかったの？！｣
｢違う〜！ お風呂入ったらハグさせて！｣
｢ええっ｣
べそべそと出てきた涙を拭う。
テヒョンはほんとに良い人だと思う。
テヒョンと話していたら、ようやく今まで長い間張り詰めていた緊張が解れたのか、涙が止まらなくなった。
村人に追いかけられ、家に閉じ込められ、変な儀式に巻き込まれて、変な力にも目覚めて一週間も寝た。
込み上げてくる色々にグズグズ鼻を啜っていると、もぞりと鈍い音がして、物凄く眠そうなジョングクくんが目を覚ましかけていた。
多分、目を覚ましかけているんだと思うんだけど……。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
