35.布団にて ページ35
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｢俺も、さっき知ったんです。お役目に選ばれたらこういうことをしなきゃいけないって｣
モゾモゾと布団の布擦れの音を立てながら、布団の中へ入ってきたジョングクくんは囁くように言った。
｢私もこの間ジミンさんに会った時に聞いたよ｣
｢え？ ジミンさんが？｣
｢嫌そうだったけど、聞いたら答えてくれた｣
｢あ〜……｣
半ば無理矢理聞いたことを悟ったのか、苦笑される。
だって、私も必死だったし。
｢この村にね、秘密があるって。生贄を捧げなきゃいけない何かがあって、神様にとって特別なんだって言ってたの｣
｢……この村には神様が溢れてる｣
｢え？｣
｢十八年前の神事の後、この村の神は倍以上に増えたんです｣
｢増えた？｣
｢他の土地から移ってきた神様が居着いたって言われてます。村にとって神様が増えるのはいい事だから、喜ばれたみたいなんですけど｣
どこか言い淀むジョングクくん。私は首を傾げた。
｢私、生贄になるの嫌だ｣
｢……え？｣
｢ジミンさんが言ってた。多分私は死ぬ訳でも生きる訳でもなくなるって。意味不明だけど、多分嫌な感じがする｣
正直にそう打ち明けると、ジョングクくんは困った顔をしてしまった。
｢俺も、A先輩が贄になるのは嫌です｣
｢……ありがとう。でも、本当は怖いんでしょ？ 神様に背いたら祟られるって｣
｢……はい｣
ジョングクくんにはジョングクくんの家の事情がある。祟りは家単位で起こるって言ってたし、家族が危ない目に遭うのは私も嫌だ。
八方塞がりだと思う。
でも、私だって何が何だか分からないまま生贄にされるのは嫌だった。
｢――村の秘密を知らなきゃ｣
私がそれを口にすると、ジョングクくんは黙って頷いた。
｢きっと、首塚の社の神様に関わってると思います｣
｢……あと、ユンギさんだね｣
家から消えたユンギさん。私がこの村に来るのを待ってたというソクジン。
十八年前の神事。ジミンさんが移り住んできた訳。祟りとお役目。
全てがあの場所でわかる気がする。
｢とりあえず、ここから逃げなきゃね｣
｢そうですね｣
｢……ジョングクくんはいいの？｣
｢……少し怖いですけど、俺も知りたいです。自分の地元のことだから｣
｢そっか｣
巻き込むのは躊躇われたけど、ジョングクくんはしっかりと私の目を見て答えてくれた。
多分、この目は信じれる。
ちょっと泣きそうになった。
ジョングクくんは最初に優しくしてくれた人。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
