34.いざ、布団の中へ ページ34
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｢……なんでここに？｣
私がそう問うと、ジョングクくんは心無しか顔を赤らめ、俯いた。
｢その……俺が選ばれたからです｣
｢え、それってお祭りの主役でしょ？｣
｢そうです。これが、祭の一番の神事なんです｣
思わずハッと布団を見た。二組の布団が目に入る。
｢え？ でも、私って神様の生贄なんじゃないの？｣
｢はい。この祭の目的はお役目様に選ばれた人にその……こ、子供を……｣
｢こども？！｣
真っ赤になったジョングクくんはとうとう顔に手を当ててしまった。
それに対して青ざめたのは私。
なにそれ、全然聞いてない！
｢あ、俺、A先輩が嫌がると思って、全然そのつもりがないというか……｣
｢いや、でも外に監視居るじゃん｣
｢はい……神様も見てるし、祟られるかもしれないんですけど、俺本当にそういうのいきなり言われても……｣
｢えええええ｣
それって殆ど脅迫に近い……いや、脅迫そのものだ。
元々人権なんかなかった村だけど、いきなり子供作れと言われても困る。
しかも外には監視役だって居て、こんなの羞恥プレイ(語弊無し)じゃん！
｢神様の生贄になるのに、他の人と子供作るとか、浮気じゃないの？｣
｢……これは、お役目の家が断絶しないように計られた慈悲らしいです｣
｢んー無慈悲！｣
神様って倫理観どうなってるの。本当に。
でも、私は内心ホッとしていた。久しぶりに人とちゃんと話せた気もするし、ジョングクくんもその気はないって言ってくれてるし。
これはチャンスかもしれない。そんな考えが頭を過ぎった。
｢ジョングクくん｣
｢はい……え？！ A先輩？！ なんで近づいてくるんですか？！｣
｢落ち着いて｣
｢いや、でも、その、俺……俺……｣
私が一歩近づくと真っ赤な顔で後退るジョングクくん。
何か、盛大な勘違いをされている気がする。
私は思い切ってジョングクくんの顔をぎゅっと両手で挟んだ。
そして、その耳に唇を寄せる。
｢Aせんぱ？！｣
｢とりあえず、落ち着いて。作戦会議しよ｣
｢……え？｣
｢外で誰か聞いてるんでしょ？ 聞こえないようにしないと｣
私は背後にある天蓋を指さして、コクリと頷いた。
真っ赤になったジョングクくんはとうとう泣きそうな顔をしていたけど、私の言葉を聞いて壊れた人形みたいにガクガク首を縦に振る。
｢え、何してるんですか？｣
｢布団の中に入るの。防音性最高でしょ！｣
バサッと布団を捲ると、ジョングクくんは貝のようになってしまった。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
