22.満月の下で ページ22
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食事とお風呂が終わって、暇を持て余した私は宿題も放り出して縁側へと座る。
｢……何してるんだ？｣
｢ぼーっとしてます｣
惚けている私を不審に思ったのか、ユンギさんが近づいてきた。
そして、驚くことに隣に座る。
｢……学校、楽しいか？｣
｢え？｣
突然そんなことを尋ねられて、驚く。今まで世間話なんかしてこなかったのに。
｢うーん、まあまあ楽しいです。友達出来たし。あ、でも女子からは嫌われてますけど｣
｢……そうか｣
｢そうか、って……それだけですか？｣
｢聞きたいことは聞けたから、いいだろ｣
｢雑談下手！｣
月明かりに照らされてるユンギさんの顔はびっくりするほど白い。
草臥れたその姿は仕事帰りのサラリーマンみたいだ。私の父がこんな感じだった。
｢……ユンギさんは、ここに居て楽しいですか？｣
ふと、そんな疑問が浮かんだ。
こんな辺鄙な村で一日中、否、年中こうして家の中に居るだなんて苦痛じゃないんだろうか。
｢……楽しいとか楽しくないとかじゃないんだよ｣
｢病気だから？｣
｢まあ｣
ユンギさんは確信めいたことは話さない。
ソクジンから聞いた神様の話を思い出して、私は色んな疑問を抱えているというのに。
病気だっていうのも嘘だし、本当は神様の筈なのに。
｢そういえば、お祭りがあるって聞きました｣
｢そうだな｣
｢首塚の社でやる……って。私、行けないんですよね｣
｢ああ……行きたいのか？｣
｢あ、いや、行きたくないですけど。面倒くさそうだし｣
私がユンギさんに隠していることも多い。
本当は色々知ってるし、色々知りたいこともあるんだけど。
口に出せないのは、なんでだろう。ジミンさんが可哀想だからとかじゃない。
ちょっとだけ、怖いのかもしれない。
｢美味しい食べ物とか出るんですか？｣
｢あー……どうだかな。甘酒と団子と、寿司くらいだろ｣
｢お寿司？！｣
｢……食いたいの？｣
｢食べたい｣
｢お前が思ってるような寿司じゃないと思うけど｣
柏の葉で包まれた川魚の地味なお寿司らしい。
そんなに美味いもんじゃない、と苦い顔で呟いたユンギさんの顔が面白くて、私は笑った。
少し、嬉しかった。
この家も村も私に冷たいから、話してくれるだけでもすごく嬉しい。
なんだかんだで、私とユンギさんは色んな話が出来たと思う。
前までの父との生活とか、都会に残してきた友達や学校の話。
まあ、大抵は私が一方的に話すのを、ユンギさんが黙って頷いているだけだったけれど。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
