【QK】全部初めて【wtnb】 (ページ19)

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私だけ聞かれて
渡辺さんの彼女事情も
気になったけど

聞いたら聞いたで
渡辺さんを今までと同じように
見られない気がしてやめた

小上がりから廊下に降りるとき
スリッパを履きかけて
ほんの少しよろけてしまった

咄嗟に支えられた腕

そのまま自然に私の手が渡辺さんのにのる形で
スリッパをはく間、支えてくれた

自分とは全然違う男の人の手に

初めて繋がれた手に

めっちゃドキドキした

『すいませんっ』

wtnb「ううん、大丈夫？」

ちゃんとスリッパを履き直して
エレベーターへ向かう

今までの雰囲気のある
温色系の光の下にいたのに

エレベーターに乗ったら
事務所のような白色系の光の中に

wtnb「(笑)、眩しっ、

てか、北川さん白っ」

『渡辺さんもです。笑』

笑いながら言い合った

こんな風に話せる人
やっぱり今は他にいないな

wtnb「俺、QKの中では1番

北川さんと仲いいと思ってるんだけどさ、」

『そうですね(笑)、私もそう思ってます』

突然何かと思ったけど
あえて言葉にされると嬉しい話で少し照れた

wtnb「何かさ、福良さんとか須貝さんとか
わりと早くから北川さんことAちゃんって、
すごい気軽に呼んでるよね。」

そういえば。
きっと山森さんが最初にそう呼んでくれたから
それがそのままあだ名みたいな感じになったんだっけ

『そうですね』

wtnb「俺、"北川さん"なのに」

『そうですね。笑』

wtnb「俺が1番仲良いのに」

『そうですね。笑』

エレベーターの壁にもたれながら
また文句のように言う姿が可愛くて
思わず笑ってしまう

wtnb「俺も下の名前で呼ぼうかな」

『....どうぞ。笑』

そういう流れだろうと思いつつ
渡辺さんの声で"北川さん"の呼び方に
慣れているから、変な感じかもな〜

なんて、頭の中では先を越して想像していた

ら

wtnb「....A」

！

自分の体温が上がっていくのを感じた

絶対顔が赤くなってるし

何よりびっくりしすぎて

体どころか顔の向きすら

渡辺さんの方なんて絶対向けなくて

少女漫画の100億倍、

胸の奥がきゅーーーっとなるのを感じた