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もう、頑張れない。 ページ3

まだ頑張れる。
そう思って頑張っていた。



ある日、僕は院の本棚にある本を見つけた。

そこには

『自分でも気づかないほど

小さな我慢であったとしても

たまっていくと苦しくなる

愛想笑いをして相手に合わせて

自分に大丈夫と言い聞かせて

まだがんばれると奮い立たせて

気づいたときには限界を迎えている

─────』

と書かれていた。

誰か来たから、僕は本を閉じて急いで元の場所に戻して、その場から離れた。

題名は分からない。
作者も分からない。

でも、これを読んでいたら、涙が流れた。
その涙を隠すように、誤魔化すように、僕は宿題を始めた。

その続きがどんなものかは、分からない。

読んでいるうちに、僕はもう限界を迎えているんだって思った。

だから、僕は逃げる。
この現実から、この世界から、この世の中から
僕は逃げるんだ。

それから僕は自分の荷物を少し整えて、下の子達に僕のものを譲ってもいいよって内容と、今までありがとうって内容を書いた手紙を残して





院を出た。





そして、当てもなくただ歩いた。

ただ歩いて

すれ違う人を横目に

前に歩いて

時々うつ向いて

歩いて

夜になったら

綺麗な夜空を眺めて

少し笑って歩いて

朝日が出るまで公園で寝て

周りの痛い視線を浴びながら

歩いた。




ふと気づいた

ここは何処何だろうか

米花町の中だろうか?
それとも
米花町の外だろうか?

回りを見渡すと

忙しなく歩く人達
お店を開けるおばあさん
交通ルールを守って走る車
綺麗な町並み
レトロだが、時代遅れを感じさせない雰囲気

その中でも特に目立つ
5つの高いビル

米花町にはこんなものはない。
ここは、米花町の外だ。





僕は、あの小さな世界から

逃げだせれた。





けれど、逃げだせれたからなんだ?

逃げだせれただけで、救われるのか?

否、そんな都合の良いことはない。

現に今だって、茫然と立つ僕を見向きもしないで、足早にすれ違う人で溢れているのだから。

逃げるだけでは駄目なようだ。

僕は見棄てられたんだ

誰の目にも止まらず

救いの手を伸べられず

苦しい思い出だけの人生だったんだ。



もう良いだろう?

もう、終わらせて良いだろう?

せめて、最期だけは、僕に、綺麗な光を



浴びさせれくれ。



・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・
本の出典:そのままでいい─田口久人

我慢しなくていい より

暇つぶしと思い出と→←まだ、大丈夫。



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xxvl6w6lvxx(プロフ) - 織姫さん» ありがとうございます。(*´∀`) 自分も、あの曲が大好きです。 (2020年5月10日 22時) (レス) id: 84d8494927 (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - あの曲を教えてくれてありがとうございます。泣いてベッドに直行しました。話の内容も凄い良かったです。 (2020年5月9日 17時) (レス) id: 47ecb9f06d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゴミ山大将敗北者 | 作成日時:2019年9月11日 7時

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