ダチュラ 【2j3j】

24話 ページ26

叢雲side




センパイが席を立ってから少しの沈黙が流れる。




伊波｢…見た、？A先輩の悲しそうな顔、｣


緋八｢…あんなん気付かん方がおかしいやろ。あの人、席戻ってからずっとああだったん？｣




Aセンパイと関わり深くないと気付けない、でもだからこそ僕らには分かってしまう緩やかでいて故にわかり易い感情の起伏。


普段通りに振る舞ってはいたけど、ひどく悲しそうで、気丈にトークを進めようとする姿があまりにも刺さってしまった。




小柳｢戻ってきた時、めちゃくちゃ泣きそうな顔でさ。まあ、あの人と仲良くないとどうせ分からないくらいのアレだったけど。｣




ありえねぇわ、マジで。なんて隣にも聞こえるように悪態をつくロウ。




宇佐美｢…ごめん、俺がこっち来なくていいのなんて言ったからこうなったんだよな、｣


叢雲｢いや、違うって、僕が連れてったからで｣


伊波｢ここでそんなこと言ってもどうにもならないよ。｣



また流れる沈黙。

その間にも隣からは笑い声が聞こえてきて、自分がしでかしたことを棚に上げてイラついてしまう。


席を覗き込めば、先程の事が無かったかのように笑顔で話しているロレさん。

それに対する苛立ちがどうしても抑えられなくなって席を立ってしまう。




叢雲｢…ロレさん｣


ロレ｢え、何カゲツ、どうした｣


叢雲｢…ロレさんマジ勘弁してください。なんで睨みつけるとか、そんなことしたんすか？あの人の傷付いた顔、見てられなかったっす｣


ロレ｢ｯあー…まあ、申し訳無いとは思ってるよ。｣



決まり悪そうに目を泳がせる彼に嫌な感情が沸き立つ。



叢雲｢僕、ロレさんならわかってくれるって、思ってたのに｣


不破｢カゲツ、もうそこら辺に…｣




叢雲｢…センパイ、ロレさんのこと、センパイ達のこと推しだーってめちゃくちゃ好いてるんです。｣


赤城｢カゲツくん｣


叢雲｢…そりゃあんたはそんなかっこいい顔してたら女の子が沢山寄って来るだろうし、鬱陶しく感じるんでしょうけど、あの人は他とは違うんです。なんでわかんないんすか？｣


赤城｢カゲツくん、｣


叢雲｢なのに、あんな露骨に嫌そうな顔するなんて、あんたそれでも｣



____人間なんすか？



全てを言い切る前に『カゲツくん！！』とウェンくんに止められてしまう。



赤城｢それだけは駄目だよ、｣


カゲツ｢…すんません、言い過ぎましたよね。｣




頭が冷えていくのが分かる。
ウェンくんには感謝だな。

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