42：宇宙人のヒミツ ページ45
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「……何があったんだ」
そう問えば、華奢な肩がぴくりと震える。
ぎゅうと己の身体を抱きしめたAは、俯いたまま。
轟と視線を合わそうとしない。
勿論、彼の隣りにいる爆豪とも。
「……何でもない」
「何でもないって、そんなわけ、」
「地球人には、そう見えるだろうけどっ」
その声は、震えていた。
Aは俯いたまま髪を整え、制服のリボンを結び直す。
破れたタイツとそこから見える傷はどうしようもないが、震える脚を叱責するように、彼女はよろよろ立ち上がった。
爆豪が息を呑むのが分かる。
その大きな朱の瞳に、みるみる感情が蓄えられるのも。
「……また、地球人か。
そんなになってもまだ宇宙人って言い張るんか！？
まだそんな嘘で、てめェは――…」
「――だってこんな現実、ぜんぶ嘘だから！！」
爆豪に呼応するように、Aは吠えた。
小さな身体に、どれだけの熱量が詰まっていたのだろう。
脚がすくむほどの声で、彼女は叫んだ。
「――きっとぜんぶ、誰かの嘘なの。
だから、私は平気。ぜんぶ、悪い嘘だから」
脚が動かないのは気のせいじゃない。
Aは立ち上がったとき、爆豪と轟の影を踏んだのだ。
ようやく顔を上げた彼女は泣いていた。
赤い瞳から溢れた涙が、痛々しい痣を伝う。
眉間をくしゃくしゃにして、顔中を真っ赤にして。
それは、ミステリアスな美少女ではなくて。
まるで、赤鬼の子どものように。
俯いたAは、乱暴に目元を擦った。
何度か肩を震わせた後に、ゆっくりと口を開く。
次に顔を上げたとき、彼女はいつものAだった。
目元を真っ赤にして、鼻水をすすって。
それでもいつものAのように。
宇宙人であろうと口を開いた。
「……今のはね、ただのメンテナンス。
地球人の空気が汚染されているせいで、宇宙人が作った擬態用のボディは汚れやすくて、」
「…………影巳、」
「転送装置もまだおかしいみたい。
整備途中でこんなところに飛ばされちゃった。
早く直さないと駄目だ。部品を早く取り寄せないと、」
「…………A」
けれど、そう見えるわけがない。
少なくとも轟の……そしておそらく、爆豪の目にも。
目の前にいるAは、ただの傷ついた少女に見えた。
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るいるい＊*(プロフ) - ヨシさん» コメントありがとうございます！ 応援の言葉、とっても嬉しいです！ (2019年7月10日 18時) (
レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 蛍狼 ＆ ローシさん» 応援ありがとうございます！ ずっと書きたかった話なのでそう言っていただけると嬉しいです！ これからもよろしくお願いしますv (2019年7月10日 18時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 夢主ちゃんがすごく不思議可愛いです！応援してます！ (2019年7月10日 18時) (レス) id: 83a9ab1185 (このIDを非表示/違反報告)
蛍狼 ＆ ローシ(プロフ) - 高校が士桀高校なのが個人的に凄く好みです！夢主ちゃんと天然くん達の絡みや、かっちゃんとのコントのような絡みもめっちゃ面白いです！後、地球人に爆笑しました！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年7月10日 15時) (レス) id: cc961492f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年7月10日 6時
