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そのドアは裏口だったのだろう。
ゴミ捨て場のように使っている場所のようだ。
『それ』が投げ棄てられた音、叩きつけられた音は黒いゴミ袋に掻き消され、ここまで届くことはない。
先程までヴィランが暴れていたのだ。
現在進行形でざわめく街。注目はヴィランが暴れた跡。
そこから奥の路地裏に、気づく者は早々いない。
多少物音がしても、店主に喧嘩を売った酔っ払いか、なんて。そんなふうに思われるだろう。
――そう。普通はそのはずだ。
だが、爆豪と轟は違った。
彼らには気づく理由があった。
「……ッ！」
「悪ィ、オールマイト。後、頼む」
気づいたのはほぼ同時。
えっと戸惑うオールマイトに箒を押しつけ、駆け出したのもほぼ同時。
群がる野次馬の間をぬって、爆豪と轟は駆け出した。
オールマイトは追ってこない。
いや、追うことができないのだろう。
休日のヴィラン騒動で集まった野次馬の中で、駆け出した子どもを見つけるのは至難の業だ。
それが良い結果を招くのか。
それとも、悪い結果を招くのか。
今の二人には、分からない。
――ただ、分かっていることもある。
たったひとつだけ、分かっていること。
二人があの雑居ビルを気にしたのは、この辺りではあまり見かけない形状の車が駐車していたからだ。
几帳面に手入れされた、黒い外車。
仮免講習の帰りに見たことがある、あの車。
――あれは、Aの父親が乗っていた車だ。
「――――影巳！」
轟は声を荒げた。
形振り構わず走り、息をあげ、走る。
何かが逃げた。男のようだ。
車に乗りこみ、それは乱暴に走り去る。
追うことも考えた。
だが、追えなかった。
目前で『それ』を見て、足が止まってしまったからだ。
「………なんで、」
『黒いなにか』は二人を見上げた。
乱れた黒い制服。破れた黒いタイツ。
肌も露わなその姿から、それを察するのは容易い。
無残な制服から覗くのは、無数の疵。
訓練で生じるそれではない。
一方的に甚振られ、嬲られたような無残なものだ。
真っ青な顔には、真新しい痣。
真っ赤な瞳には涙と困惑、そして、絶望。
「…………なんで、いるの、」
見開かれた赤から、つぅと一粒、涙が伝う。
白い肌に貼りつく銀髪。
硬く唇を噛み締めて、顔を伏せる。
投げ棄てられた『黒いなにか』。
――影巳Aが、そこにいた。
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るいるい＊*(プロフ) - ヨシさん» コメントありがとうございます！ 応援の言葉、とっても嬉しいです！ (2019年7月10日 18時) (
レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 蛍狼 ＆ ローシさん» 応援ありがとうございます！ ずっと書きたかった話なのでそう言っていただけると嬉しいです！ これからもよろしくお願いしますv (2019年7月10日 18時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 夢主ちゃんがすごく不思議可愛いです！応援してます！ (2019年7月10日 18時) (レス) id: 83a9ab1185 (このIDを非表示/違反報告)
蛍狼 ＆ ローシ(プロフ) - 高校が士桀高校なのが個人的に凄く好みです！夢主ちゃんと天然くん達の絡みや、かっちゃんとのコントのような絡みもめっちゃ面白いです！後、地球人に爆笑しました！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年7月10日 15時) (レス) id: cc961492f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年7月10日 6時
