01：宇宙人にオハヨウ ページ3
...
ヒーロー仮免許取得試験当日。
当日は見事な秋晴れで、素晴らしい試験日和である。
雄英一同は
更なるステップアップを目指す気持ちは爆豪とて同じだが、意気揚々と円陣に加わってやるつもりはなかった。
「――東の雄英、西の士傑」
会場に集まる制服を見てひとりごちる。
テンションだけで乗り切るような男子生徒の被っている制帽、身につけている制服。
黒で統一されたそれは確かに、士傑高校のものだった。
数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校――それが士傑高校だ。
その実力は相澤が説明する通り。
だが相手が強ければ強いほど、爆豪の血は昂っていく。
強い相手と戦いたい。
そして、強い相手に勝ちたい。
オールマイトに憧れた爆豪の気持ちは、いつだってそのままで――…
「……月、見えない。声、聞こえない」
「今は朝だぞ、A。当然のことだ」
不意に、透明な声がした。
そちらの方を向けば、士傑の制服を着た少女が、何やら空に手を伸ばしている。
爆豪より頭ひとつ分、小さいくらいだろうか。
空へと伸びた手は小さくて華奢。
ほとんどが厳しく、重厚な佇まいをしている士傑の生徒の中で――…
俗っぽい言い方をすれば、彼女は明らかに浮いていた。
「せっかく報告、しようとしたのに……」
「……？ いいから行くぞ」
そして、半ば強制的に会場へ連行されていく。
見れば見るほど、よく分からない少女だ。
確か、Aと呼ばれていたか。
あれもヒーロー志望なのだろう。
それにしてはぼんやりしていて、覇気というものを感じられないが。
「……あ」
そんな彼女と、一瞬だけ目が合った。
吸い込まれそうな赤い色と、燃える赤とかぱちりとぶつかる。
でもたったそれっきり。
彼女は他の士傑生と共に、会場へと入っていく。
「……トロそーな電波女」
士傑の生徒なのに。ヒーロー志望の人間なのに。
あんなにふわふわしていて、果たしてそれが務まるのだろうか。
まあ、爆豪がそんな心配してやる必要はない。
そもそも爆豪は、そういうことをする柄じゃないのだ。
――だが、妙に印象に残ってしまった。
空に手を向け、何かを求める仕草。
彼女は、何を探して……何を願っていたのだろうか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るいるい＊*(プロフ) - ヨシさん» コメントありがとうございます！ 応援の言葉、とっても嬉しいです！ (2019年7月10日 18時) (
レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 蛍狼 ＆ ローシさん» 応援ありがとうございます！ ずっと書きたかった話なのでそう言っていただけると嬉しいです！ これからもよろしくお願いしますv (2019年7月10日 18時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 夢主ちゃんがすごく不思議可愛いです！応援してます！ (2019年7月10日 18時) (レス) id: 83a9ab1185 (このIDを非表示/違反報告)
蛍狼 ＆ ローシ(プロフ) - 高校が士桀高校なのが個人的に凄く好みです！夢主ちゃんと天然くん達の絡みや、かっちゃんとのコントのような絡みもめっちゃ面白いです！後、地球人に爆笑しました！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年7月10日 15時) (レス) id: cc961492f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年7月10日 6時
