114:ふたりの×× ページ24
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お茶子の言葉はまっすぐで。
そこに嘘は、ひとかけらだってありはしない。
困ったなぁと、Aは言う。
握られた手を見て、弱々しく笑う。
「麗日ちゃんは、強いなぁ」
「うぅん。そんなことない。
でも強くなりたいって思ったら時々びっくりするくらい、わーって、力が湧いてきて……」
「……そっか」
握り返された手の力が強くなる。
俯きがちなAは、小さく、ほんの小さく息をついて。
次に向けられた笑顔は、かげりがあった。
悲しみは、淡いグレーの美しい瞳に。
けれど同じように宿った決意が、お茶子の胸をかきまわす。
――距離の近さに油断した、その時だった。
「………ごめんね、麗日ちゃん」
ぐいっと、それは一瞬。
突然身体が引き寄せられた。
Aに腕を捕まれ、抱きしめられたのだ。
「〜〜ぅっ！？」
あまりに一瞬のことで、何もできなかった。
ただ心臓の音だけがうるさくて、顔に熱が集まっていくことだけがわかる。
咄嗟に押し返そうともがいても、びくともしない。
思ったよりも広い肩幅。胸の中。
直接触れ合う肌と肌の熱。
それはまるで。
熱の中に熔けてしまいそうな心地で――…
甘い匂いがする。
理性を熔かす、Aの匂いだ。
彼が個性を使ったのだろうと悟るのに、大した時間はかからなかった。
脳髄から蕩けさせられる甘い香り。
じわりと耳まで熱くなり、火照っていく。
あまりに近くて、息ができない。
暑くて、熱くて、息が吸えないのに心地よい。
林間合宿の時とは違う。
これは、Aの本気だ。
お茶子を安全なここでいさせるために、Aは個性を使ったのだ。
心臓の音が聞こえる。
早くて、うるさい。
けれど、これはどちらの音？
それでも理性を放棄するまいと。
Aを行かせまいと……お茶子は耐える。
ここで自分が意識を失えば、Aはヴィランたちと一緒に消えてしまうのだろう。
もう彼は、こちら側に戻れなくなる。
それだけは、嫌だった。
お茶子は守ると、決めたのだ。
どんなに苦しくても、みんなを、Aを含めたみんなを守りたいと――…
滲む視界。回る世界。
近すぎる距離に、甘い匂い。
――Aの唇が、お茶子に触れた。
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るいるい＊*(プロフ) - 遥亜さん» コメントありがとうございます！リクエストもとっても嬉しいですvV 今書いているものが完成したら是非とも書かせていただきますね！ (2019年6月12日 13時) (
レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
遥亜(プロフ) - 完結おめでとうございます！リクエストいいですか？是非主くんと一年A組のみんなが仲良くしているのを見てみたいです！一年A組のお手伝いとして訓練に参加したりしてもらいたいです！お願いします！ (2019年6月12日 11時) (レス) id: b6c422ed28 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 星の桜さん» コメントありがとうございます！ 尊いと思っていただけたのなら嬉しいですvV (2019年5月30日 8時) (レス) id: ba7b003d03 (このIDを非表示/違反報告)
星の桜(プロフ) - 反則...尊しをさせるきぃ...？ (2019年5月30日 6時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - タクさん» ありがとうございます！ 私に書ける最大級の甘々を目指しましたvV (2019年5月29日 21時) (レス) id: ffc7d791fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月23日 18時
