84:渾沌 ページ39
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うっすらとだけ、目が開く。
目の前にいたのは、お茶子に個性――フェロモンをかけた人物、無銘Aだった。
暗闇からの奇襲。不意打ち。
彼の個性がそれに適していることは、お茶子もよく知っている。
「ごめんね、麗日ちゃん。
トガちゃんの邪魔、しないでくれるかな？」
あやすように髪を撫でながら、Aは言う。
表情はよく見えない。
けれど彼の口元は、緩やかに笑っているように見えた。
「あの子は可哀想だけど、死にはしないと思うよ。
相手がトガちゃんで良かったねぇ。他のが相手だったら、女の子にとっていちばんひどい死に方をしていたかもしれないから」
だから力を抜いて、いいこにしていなさい。
そうすれば何にも怖いことはないよ。
Aはそう言った。
欲を煽るような声でも、相手を惑わせるような声でもない。
子どもを宥めて落ち着けて、優しく愛でるような声だ。
――だけれど、
「ぅ……っ！」
「梅雨ちゃん、梅雨ちゃん、カァイイねぇ！
血って私大好きだよ、お友だちの梅雨ちゃん……」
苦しそうな声がする。
梅雨の声だ。あんなにも優しくて、素敵なクラスメイトの声だ。
彼女は苦しんでいる。
きっとあのトガというヴィランに捕まって、ひどいことをされている。
――ぺちり。
弱弱しい音。消えてしまいそうな打撃。
個性すら使えないし、発動すらできないような状態で。
お茶子は、Aの頬をぶった。
真っ赤な顔。あがる息。
視界がぼやけてしまうのは、生理的な涙のせい。
今日はじめてはっきりと捉えたAの顔。
一瞬だけ驚いた顔をして。
その後見せたのは、今にも泣きだしてしまいそうな笑顔。
長い睫毛の先端から、雫がぽとりと零れそうで。
……こんなことを言うのは、不謹慎なのだろう。
だけれど、あんまりにも彼は孤独で。
孤独だから、綺麗だった。
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唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
