80:ふたりぼっちの秘密 ページ35
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暗い夜道。
ふたりぼっちで、ふたりきり。
あの日のように星空は綺麗で。
まるでふたりを包むようだ。
「……ねぇ、お茶子ちゃん。
もしも私の気のせいだったら悪いのだけれど」
「うん？ なぁに、梅雨ちゃん？」
口を開いたのは梅雨。
少し困ったような顔で、お茶子に言った。
「お茶子ちゃん……
何か、隠していることがあるんじゃないかしら」
――どきんと、嫌な音がした。
お茶子はあれから、Aと会ったことを相澤に話していない。
緑谷が死柄木に遭遇したときも、死柄木の件に紛れてAのことを言いそびれた。
隠しているつもりなんてなかった。
けれどこれを後ろめたく感じたのは、Aが死柄木といたからだ。
Aが、死柄木を探していたからだ。
「……隠しごと、なんかなぁ」
梅雨は裏表がない、素直な子だ。
だから話しやすくて、身体のいちばん奥にある、柔らかくて……さらけ出すのが難しいことでも、話してしまうことができる。
「ヒーローなんかヴィランなんか分からへん……そんな、不思議なひとと会ったの。
危険かもしれへんって、思ってた」
「ケロ……」
「でも……私が誰かに喋ったら会えなくなる。
頭のどっかでそう思って隠そうとしてたんかも。
だとしたら私……すごい、ずるい子だ」
「……お茶子ちゃんはそのひととお友だちになりたかったの？」
「それも、よくわからんくて。
でもそのひとを見たら、なんか……世界の色がふわっと変わったみたいに、どきどきして。
何にもわからないそのひとを知りたい、知りたいなって思うようになって……」
「……お茶子ちゃん、その気持ちはね」
私、思ったことは何でも言っちゃうの。
かつて梅雨はそう言った。
そういって、けろっとしていた。
そして今の梅雨は優しげに微笑んでいる。
お茶子の手を両手で包み、彼女は言う。
「――恋、っていうのよ」
……すとん。
まるで何かのピースがはまったみたいに、その言葉はお茶子の胸に響いて、落ちて。
梅雨の言葉はいつだってまっすぐで、ためらいも嘘もないものだから、見ないふりしていた『本当』を見つけてくれる。
「……梅雨ちゃん」
「なぁに、お茶子ちゃん」
「このこと……みんなに秘密にしてくれる？」
「ええ、もちろん」
知っているのはたったふたり。
そして、やけに綺麗な星空だけ。
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唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
