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あくまでも、気のせいだと思った。
自分が気にしているからAの姿が見えたのであり、一応逃走者である彼がこんな人の多いところにいるはずがないと。
だけど、なんど目を擦ったって、そこにいるのは間違いなくA自身で。
「……あれ、麗日ちゃん？」
その証拠に「おーい」なんて声をかけてくる。
なんともまあ、警戒心のないやつだ。
目深にキャップを被り、いつもとは違うブラックのスキニージーンズ。
ラフめなパーカーとTシャツに、銀のシルバーを合わせた彼は、いつもと違い、やや軽い印象を受けた。
整った顔立ちこそ隠しているものの、そのスマートな長身は少し目立つ。
女子高生の集団があのひとちょっとかっこよくない？ なんて話している声が聞こえた。
「ほら、やっぱり麗日ちゃんだ」
そんなことも考慮に入れた上で、こうして振舞っているのだろう。
いつものどこか怪しい雰囲気は消え去り、ただの好青年に見えた。
緩く手を振りながらAはお茶子に駆け寄り、キャップを少し上げて見せる。
いつもと変わらないAの笑顔。
あの公園で見せたそれとは違い、飄々とした……なに考えてるか分からない、そんな笑顔だ。
「な、なんでAさんがここに！？」
「俺も驚いたな。
今日ばっかりは面白い偶然だね」
流れるように目立たない場所へ誘導しながら、Aは言う。
口では驚いたと言うけれど、さほど表情には響いていない。
淡いグレーの瞳はお茶子を映して、ふんわり、穏やかに緩んでいる。
「ゆっくり話をしたいとこだけど……実はね、探してるひとがいるんだ。
黒いパーカーで猫背の男。髪は灰色で、指はこう、しわしわしてる。知らない？」
「さあ……？ ウチは見てないなぁ」
どうやら珍しく、Aは少し困っているらしい。
「そうか弱ったな」と呟く彼の表情は、何だか年相応に見えて、おかしかった。
「私も探してる人がいて……えーっと、髪の毛緑でもじゃもじゃで、地味めの！」
「ああ、緑谷出久くんね。……だったら」
一緒に探そうよ、とAが言う。
向けられた笑顔は悪戯っぽく。
それでいて楽しそうで、穏やかに。
一瞬だけかぁっと頬が赤くなったのは、秘密。
それにしたって、不思議だ。
……個性なんか使われてはいないはずなのに。
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唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
