70:＊* ページ25
.
しかしながら、Aが個性……フェロモンを使ったのもほぼ同時。
ぶわっと広がる甘い香。
一瞬にして辺りを包み込み……
死柄木は膝をつき、トガはナイフを取り落とし、荼毘は大きく尻もちをつく。
遠距離からの広範囲における個性使用は、効き目が薄くなりがちな上に疲れる。
だが、相手を行動不能にさえできないものの、殺意をもいで気を緩ませるのには十分だ。
「おいコラ、A……
なに俺に
「すみませーん。俺ってば、か弱いでしょ？
巻き込まれたくないなーって思っちゃいまして」
いくら凄まれようと、ふぅふぅと肩で息をしながらならば怖くとも何ともない。
やれやれと肩を竦めながら、Aは死柄木をあしらった。
新入りふたりの方はというと、トガの方は頬を赤らめたまま不思議そうにナイフを見たり、見なかったり。
荼毘の方は呆気に取られたようにAを見て「あいつの個性か」とひとりごちたり。
これで恨みを買わなきゃいいな、なんて思いつつ、Aは黒霧を見上げた。
黒霧は穏やかに口を開き、死柄木に諭す。
「落ち着いてください、死柄木弔。
あなたが望むままを行うなら、組織の拡大は必須。
くしくも括目されている今がそのチャンス……排斥でなく、受容を」
そこからはもう、いつもの流れ。
癇癪起こす死柄木を宥めるべく、黒霧は彼の耳元で何かを囁き……
Aのフェロモンを受けているせいで普段より多少、血の気は少なくなっているだろうが、こうもまあ、至近距離まで。
機嫌の悪い死柄木に近づくなんて、黒霧もなかなか肝が据わった男だ。
「……うるさい。うるさいっ」
しかしながら黒霧の心、死柄木知らず。
彼は不機嫌そうに足を鳴らし、ふらりと何処かへ行ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 385人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
