64:星空に、唇 ページ18
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飯田の兄……インゲニウムの件は、すでにニュースになっている。
だからAもよく知ることだろう。
ヒーローを再起不能にせんと暗躍するヒーロー殺し。
その毒牙にかかり、ヒーローとして活動できなくなったらしいインゲニウム。。
お茶子は家族に恵まれていると思う。
きっと飯田くんもそれは同じで、家族がだいすきだという気持ちは、お茶子にだって負けていなかったと思うのだ。
そんな飯田が、この件でどれだけ胸を痛めていることか。
高い新幹線に乗ってまでわざわざ来てくれた両親に心配をかけるまいと口には出さなかったが……お茶子はずっと、心配していた。
彼が何か思いつめて、苦しんではいないかと。
「……あれ？ なんで私、Aさんに相談してるんやろ……？」
「まあまあ、そのことは後で置いておくとして……」
星空を見ていたはずのAが、不意にお茶子の方を向く。
淡いグレーの瞳は柔らかく……今夜は胡散臭くなんてなくて。
優しげにふわりと緩み、お茶子の栗色の瞳を見つめていた。
「――それで、麗日ちゃんはどうしたいの？」
どうしたいか、だけでいいんだよ。
穏やかにAは言う。
自分がどうしたいか、何をしたいかだけを聞きたいと。
「私は……飯田くんに教えてもらいたい。力になりたい。
辛いことがあるならそれを聞いて、飯田くんを支えられたらな、って」
「じゃあ、話は簡単だ。
大事な友だちを支えられるように……彼の弱さを見ることができるくらい強くならなきゃ」
きっと、Aは個性なんか使っていない。
それなのに、胸の奥から響くように伝わる、この言葉はなんだろう。
じわりと身体に広がって、冷たい夜を暖かくする。
まるでホットミルクみたいに、とろりと蕩けて、広がっていく。
「体育祭、見ていたよ。頑張ってた。凄かったね。
だから……麗日ちゃんは、もっと強くなれると思うんだ」
穏やかな潮風。穏やかな言葉。
麗日から目をそらさずに、Aは静かに微笑んだ。
「もっと強くなれば見える世界も広くなる。
そうすれば今見えないもやもやも、見えるようになるんじゃないかな……なんてね」
星空に、ぽつりと。
紡がれたのは冗談めいて悪戯っぽい……けれど、とても優しい言葉。
その言葉がゆっくりと――お茶子の世界を、変えていく。
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唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
