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おそらく、ひとを呼べばAは個性を広範囲に対して使うだろう。
負傷のせいでろくに個性が使えない相澤のことを見越して。
午後の部がはじまるまであと15分。
その15分でAは何をする気なのか。
「お前の話はいつも合理性に欠くね。目的は最初に話せ」
「そりゃあどうも。
けど俺の個性で合理性を求めるとロクなことにならないのは、あなた自身もご存知でしょうに」
「……お前の目的は何だ」
「イレイザーヘッドの怪我のお見舞いに来ました。ひどくやられたって聞いたので」
キャップを目深にかぶったAの表情はうかがえない。
口元は飄々としていつもの彼らしい様子だが、声色には熱があった。
それは憎しみか。嫉妬か。あるいは。
――かつて相澤が、彼に除籍を言い渡したその時も。
彼の声色は冷えていて、それでいて渇き、熱を隠していた。
「それだけじゃないだろ。
お前はたかがそれだけを目的に高いリスクをおかすヤツじゃない」
「随分と買いかぶってくれてるんですね、イレイザーヘッド」
「まあ……元教え子だからな。お前の聡明さはよく知ってるさ」
「……じゃあ。なんで、」
――Aは言葉を噛み殺す。
溢しかけた言葉を呑み込んで、胸の奥へと潰してしまった。
「俺がお前を除籍した理由は以前も話した。
それ以上でもそれ以下でもない。A、お前は――…」
「知ってます。だから、もう言わなくていい」
「話を逸らすな。お前の目的が俺に対する報復なら――…」
「――黙れよ！」
一瞬で広がったのは甘い匂い。
だがそれが広がる前に、相澤は包帯を外す。
傷が痛むが、それが返って好都合。
痛みが理性を押しとどめ、本能を殺してくれる。
……相澤がAの個性を抹消し終わった時。
Aはいつもの、飄々と笑う青年に戻っていた。
弱みも痛みもすべてを腹に隠した、青年に。
「本当に……嫌なとこばっか見てるなぁ。
報復だとか復讐だとか、そういうのはどうでもいいんです。
ただ、興味があるんですよ、先生」
あの子たちと俺は、何が違う？
どうして俺は、有精卵になれなかったのか。
「先生と、先生のお気に入りたちと関われば分かる気がするんです。
……いいや、きっと分かる。だから、またお会いしましょう」
ひゅるりと身を翻して、Aは姿を消す。
それもそうだ。彼は在学時から、逃げ足が速かった。
傷も癒えぬ相澤は……彼の姿を捕えられない。
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唯理 - 体育祭の緑谷のポイントは1000万ですよ。前作から読ませてもらっています頑張ってください！ (2019年8月4日 16時) (
レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - いっちゃんさん» コメントありがとうございます！ 感想と応援、本当に嬉しいし励みになります！ お陰様でたくさん評価をいただきまして有難い限りです……これからもよろしくお願いします！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - アドバイスではないんですが、1つ目の時から俺、除籍されちゃったんでを見てたのでどんどん人気になっていて凄い！と思います笑今までの作品で1番好きな作品なのでこれからも見続けますし、応援しています！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 35db45c436 (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - watanukiさん» コメントありがとうございます！ いいですね、それ！実は触れ合いがディープであればある程隙ができる=個性がかかりやすくなる、みたいな描写する予定だったのでそれ、採用です！ 有難く使わせていただきますねvV (2019年5月18日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - すいません、何故か2回送ってしまって、2回送ったのは気にしないでください！ (2019年5月18日 7時) (レス) id: 95d34a0908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月17日 17時
