41:前略、先生方 ページ43
...
..
――元雄英高校1年A組。
除籍処分によって学校を去った、無銘 A。
それ以後の行方を晦ましており、どの高校にもどの職にも就いた気配のないAを心配していた教師は少なくなかった。
そんなAが、敵連合と呼ばれた連中といる。
その上、USJ襲撃事件に関与し、ヴィランに紛れて生徒たちと交戦したと聞く。
これは挑発ですよ、と誰かが言った。
自分を除籍処分にした、相澤に対する挑発。
彼は相澤を恨み、その憂さを晴らすために入学したばかりの生徒たちを狙った。
だが問題は、そんなに単純なことなのだろうか。
恨みと嫉妬で動いたならば、Aは尾白を殺していたはずだ。
もっと暴力的に事を進め、被害を増やしていたはずである。
そのことは、相澤がいちばんよく知っている。
Aは優秀だ。優秀な生徒だった。
特に対人戦においてはめっぽう強く、本気で相手をいたぶるつもりだったなら……
「人間フェロモン。
……本当に、優秀すぎて困る個性ね」
似たような個性を持つ、ミッドナイトが言う。
彼女は、最もAを可愛がった教師だった。
「彼に対する対応は慎重に考えなければ。
未成年者であり……元教え子である以上、な」
唸るような声でブラドキングが言う。
彼は教え子思いの教師。この状況にはさぞかし胸を痛めたことだろう。
勿論、Aがいたことは警察に伝えた。
だが未成年者である以上、対応は慎重だ。
報道にも勿論規制がかかり、顔や名前、個性の公開はない。
……それも、Aの計算のうちなのだろうか。
「Aは俺が除籍した生徒です。
……問題の責任はすべて、俺に」
「あれは満場一致だった。
きっと僕でも君と同じ判断をしたと思うよ」
根津校長は穏やかに答える。
それについては教師陣も同意。
けれど、相澤は頑として譲らなかった。
「……俺はAの担任でしたから」
痛々しい姿を残したままの相澤は静かに言う。
脳無にやられた傷は、まだ癒えていない。
全身の包帯が痛々しく……
――それでも、彼は譲らなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 560人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るいるい＊*(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます！ 嬉しいですvV (2019年5月29日 21時) (
レス) id: ffc7d791fa (このIDを非表示/違反報告)
カイ - お茶子も主人公も両方可愛い！ (2019年5月29日 20時) (レス) id: 2843dfb22b (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 猫好きさん» 健全な占ツクでその話題はいけない…(戒め) (2019年5月24日 8時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 野獣せんぱ……すみません (2019年5月24日 0時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
るいるい＊*(プロフ) - 祟璃さん» うわぁあ人名のミスとかいちばんやっちゃいけない誤字！ ありがとうございます！本当に助かります！ 修正致しました！ (2019年5月20日 10時) (レス) id: d4f8fbb131 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るいるい＊* | 作成日時：2019年5月12日 14時
