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「監督、代わりの役者、彼女ではダメですか?」

「え、九条さん、何をおっしゃって!」

「黙ってて」


高橋監督は、顎に手を当て少し考え込み、言葉を綴る



「・・・面白い。久しぶりにAくんの演技を撮りたい。けど、僕の一存じゃどうにもならない事もある。プロデューサーとCMスポンサーというか、見学に来てる企業担当さんがOK出れば僕は撮りたい。ちょっと待ってて」



そういうと、立ち上がり、隅の方で話し込んでいる人達の方へ歩いていった。




「どういうことですか?九条さん、私は!」

「僕は、次の仕事がテレビの音楽番組。しかも生放送で遅刻する訳にはいかないから、これ以上このCM撮影がおすと困るんだ。わかるでしょ」

「それは、わかります。でもなんで、役者なら、うちの事務所の新人をいまからでも、手配すれば、」

「手配って、連絡とって、呼び出して、ここに来るまでどれだけ撮影ストップすると思ってるの?それに、ただ、振り向くだけの通行人役だ。CMの15秒、長くて30秒の世界で、たったそれだけの演技。休業中とはいえ、Aさん、天才子役って呼ばれてたんでしょ?できないとは言わせない。」

「なっ!……九条さん、訂正して下さい。ただの、通行人って何ですか。必要の無いモブや通行人なんて居ないんです。それが、エキストラだろうが、有名役者だろうが、関係ない。それぞれの役割、演技、必要だから、そこにいる。重要な役です。通行人ってだけで馬鹿にしないでください」

「…っ」

「珍しいな。天くんが言い負かされてる」



2人の会話が聞こえてたのか監督が笑みを浮かべ戻ってきていた




「今のは志津雄さんからの教えかい?」

「はい」

「あの人は、時代劇なんかの仕事を通して、多くの名も無い配役たちの大切さを人一倍わかっているからな」


話はついたよ
そう、監督が続けた




「プロデューサーも見学に来てた企業関係者も了承が得られた。あとは、Aくん次第だ。ギャラは、上乗せして上げられないけどね」


「ねぇ、見せてみてよ。天才子役の名を惜しいものにしていた君のその演技を。ただの通行人じゃない、その演技を」





綺麗な顔で、私より少し高い位置にある二つの目から伝わる真剣な眼差し
それから、逃げることが私は出来なかった

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りリ - とーっても面白い作品ですね!めちゃめちゃ続き楽しみです!まってまーす. (3月31日 13時) (レス) @page29 id: 566e94ca36 (このIDを非表示/違反報告)
莉紗(プロフ) - みりかさん» コメントありがとうございます。亀更新ですが、頑張ります! (8月22日 13時) (レス) id: 5aeb398a67 (このIDを非表示/違反報告)
みりか - 続き楽しみにしています✨️✨ (8月21日 18時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉紗 | 作成日時:2023年6月13日 8時

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