【アイナナ】シークレットラブ(仮)

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約束通り、十さんの曲中にスタンバイ準備のできた九条さんは、奈落へと向かった。
決まった振りのないソロ曲を、右に左にと歌いながら移動し、観客にも手を振ったり、ファンサ希望を書かれている子達の要望を笑顔で答える。

ソロラストサビでTRIGGER全員がステージ上に揃い、歓声が上がる。

少しのMCとラスト曲の紹介がされ、本当に最後の曲が流れ始めた。
モニターに映る観客達の中には、ちらほらと涙を流し、ライブ物販で売っているタオルを握りしめるファンの子や一生懸命、ペンライトを振る満面の笑みの子達が映されていた。



「姉鷺さん、先程は失礼しました」



頭を下げる


「あら、なんのことかしら？」

「招待していただいているだけの身分でありながら、勝手なこと言ったりして…」

「そうね、気の短い人とかなら、指図するなってなるんでしょうけど、私も心のどこかで、天なら大丈夫って過信があったのかもしれないわ。事前スケジュール管理も含めマネージャー失格かしら。もっと気を付けないといけないわね」



共にモニターに映る九条さんの笑顔のアップを見つめていた。

曲を歌い終わり、三人、上手、下手、中央、それぞれの席にいるファンの近くまで行き、最後の別れと感謝の言葉を伝えていく。
そして、本当に最後の挨拶、マイクなしの生声で大きく




「「「 本日は、本当にありがとうございました 」」」




静まった大きな会場に響くその声の直後、一斉に拍手とファンの子達からの

「ありがとう」

がたくさん、たくさん届けられた。


三人は、スタート同様に、奈落位置へ集合し
その奈落がゆっくりとステージ下へ完全に降りるまで、客席に向かって手を振り続けるのだった。

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