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「九条さんっ」
「天っ」
「「「九条さんっ!」」」
間一髪、身体を受け止めるも、私自身体制が整っておらず支えきれない
ゆっくりと彼の身体を正面で抱き止めながらも、床に座り込む。
「九条さん、大丈夫ですか?」
「はぁはぁ」
呼吸が荒く、息苦しそう
先ほどまで、身体を動かしていたとは言え、その体に流れる大量の汗
過呼吸
その文字が頭を駆け巡った
無理もない。この人は、過労で強制入院と診断を受けていたのだ。
先ほどまでのパフォーマンスにより、とても大事なことが頭から抜けていた事に今更気づいた。
「九条さん、ゆっくり、ゆっくりでいいです。呼吸を整えてください」
抱きしめる形で支えている九条さんの背中を優しく、ゆっくりとしたリズムを刻むように叩く
駆け寄ってきた、楽くんや十さん、姉鷺さん、迎え入れるために集まっていたスタッフも心配そうに見ている
「すいません、八乙女さん、十さん、アンコールの準備を…」
そう、このライブはまだ、終わりではない。
先ほどからずっと、一生懸命アンコールを待つファンの声は響き続いている
二人は心配そうにしながらも、そのスタッフに着いていった。
すると、その声に反応し無理矢理にでも動こうとする九条さんの力のない、立ち上がりを感じた
「九条さん、出るおつもりですか」
「っ、無理よ。天、もうあなたは十分に役目を果たしたわ。アンコールは諦めなさいっ」
私の言葉に、九条さんの意思を勘づいた姉鷺さんから静止がかかる
呼吸数の多さに声が出せない九条さんは、私の肩に乗る頭を横に振る
息苦しさによる涙を一雫ほぼしながらもその瞳の意志の強さで、目の前の姉鷺さんに訴えていた
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りリ - とーっても面白い作品ですね!めちゃめちゃ続き楽しみです!まってまーす. (3月31日 13時) (レス) @page29 id: 566e94ca36 (このIDを非表示/違反報告)
莉紗(プロフ) - みりかさん» コメントありがとうございます。亀更新ですが、頑張ります! (8月22日 13時) (レス) id: 5aeb398a67 (このIDを非表示/違反報告)
みりか - 続き楽しみにしています✨️✨ (8月21日 18時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉紗 | 作成日時:2023年6月13日 8時