【アイナナ】シークレットラブ(仮)

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コンコン
楽屋の扉を叩く音がする


「はい、どうぞ」

「おはようございます」



ゆっくりと開けられた扉の隙間から顔を覗かせる



「おぉ、Aか！よく来たな。楽しんでいけよ」

「Aさん、おはようござます。いつもお世話になってます。今日は楽しんで行ってね」

「お二人とも、お怪我なさらないよう頑張ってください。
　 あ、楽くんはいつも、お招きありがとうございます」



軽くデフォルメのような挨拶を交わす。
八乙女事務所に移籍してから、周りには歳の近いタレントが少なく、社長の息子として出入りしていた楽とは、兄妹のように仲良くさせて貰っていた。
その縁もあって、よく関係者席だったり特別枠用に開けている一般席だったりにお誘いしてもらっているのだ。



「いや、今日は俺じゃねぇよ」

「？」

「ま、当の本人は入院しちまったけどな」

「？？？入院？？？」

「なんだ、事務所で聞いてないのか？」

「社長達の判断で、一部のライブスタッフにしか伝えてないって姉鷺さん言ってたよ。トップシークレットって」

「一番ガッカリさせるであろう、ファンにも告知してないらしいからな」

「九条さん、入院されたんですか？そんな…」

「過労で強制入院だとよ。俺が喉を枯らした時、散々ボロクソに言ってくれたからな。ライブは心配いらない、休んでろって言い返してやろうと思ってたところだよ」




スマホを取り出し、何か打ち込み始めた
おそらく、先ほど言っていたやさしい言い返しなのだろう



「はは、楽はいい男だな」

「だろ？」




「ちょっとあなた達、あら、Aさんいらっしゃい。ねぇ、天から何か連絡あった？」

「ないですけど…」

「何があった」


真剣さの伝わる声が続く


「それが…居なくったらしいのよ。入院先の病院から…」

「ええええ・・・・・」


信じられないというか、どういう状況なのか理解が追いつかず、その言葉しか漏れてこなかった

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