11 ページ11
あれからおそらく数分も経ってないのに随分長く感じる。
沈黙を破ったのは五条さんだった。
五「A、」
ガラッ
五「…」
「な、七海…！」
七「失礼しました」
久しぶりに会う友人は私からの切実なアイコンタクト(助けて)を華麗にスルーして扉を閉めた。
思わぬ人物の登場に五条さんの力が弱まった隙にすり抜けて逃げる。
五「コラ！」
「失礼します！」
これ以上この人といたらダメだ。
ピシャリと扉を閉め駆け出す。
何度も頭の中で繰り返される先程の会話。
どういう意味か＿＿＿理解しようとする思考を無理やり完全停止させる。
振り切らないと。
もう絶対に間違えないために。
廊下を曲がると分厚い壁…のような胸に弾かれ倒れそうになるも腕を掴まれ無事済んだ。
七「危ないですよ」
「七海！」
七「…もう話は終わったんですか？」
「面倒はごめんですよ」ジロリと見透かすようにこちらを見つめる瞳からすっと逸らす。
「お、おお終わりました」
七「……まぁいい。そういうことにしてあげましょう」
ほっとため息をついたのも束の間。
ふと浮かんだ疑問に見上げる。
「そういえばなんでここに？」
七「今日からこちらに来ると伊地知君から聞いていたので挨拶をしようと」
「〜っ七海！！」
嬉しさのあまり抱擁をしようと広げた両手は見事に空をきった。
七「勘弁してください。貴女とそんなことをした日には何が起きるか」
それってどういう…まぁいいや。
「七海が元気そうでよかった」
前に会った時はバタバタしててちゃんと話せなかったから。
「やっぱり戻ってきたんだね」
術師を辞めると苦しそうに吐き出したあの日の七海はここにはいなかった。
七「それはこっちのセリフですよ」
「う"。これは不慮の事故といいますか…」
七「私はわかってましたよ」
「なんで？」
そう聞くと盛大にため息を吐く七海。
七「その答えは自分で」
「えっ」
七「では私はこれで「七海！」
「またよろしくね」
七「…ええ」
歩き出した彼の後ろ姿を見届け私も進む。
七海と話せて気持ちが落ち着いた。
ここは懐かしい匂いに満ち溢れているからかとても落ち着く。戻ることのない宝石のような日々。
煌めいて消えていったあの輝きは今もまだ私の胸の中に。
七海はそんな日々を強く思い出させてくれた。
「よし！私も生徒達ともっと強くなるぞ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1846人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
r_inaaa6(プロフ) - 面白すぎて一気見してしまいました(´；ω；｀)素敵な作品すぎます(；；)今後も自身のペースで更新頑張ってください！応援してます^^ (2月7日 19時) (
レス) @page16 id: ee744ba5ce (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - じょんすさん» 返信遅くなりすみません。泣いたなんて…！こちらがその言葉に涙です！2回も読んでいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いします！ (1月29日 17時) (レス) id: 97399ab2d2 (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - りんごさん» 返信遅くなりすみません。あたたかい言葉に嬉しい気持ちになりました！今後も続けていく予定なのでよろしくお願いします！ (1月29日 17時) (レス) @page15 id: 97399ab2d2 (このIDを非表示/違反報告)
じょんす - 最高でした。2回読みましたが、泣きました。素敵な物語をありがとうございます！続きも楽しみにしています！ (9月18日 15時) (レス) @page15 id: 07463d1b7a (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 今日最初から一気に読みしました！高専時代の青春やちょっと切ない所が色々あって読んでてとっても楽しいです！今後の更新も楽しみにしてます！ (8月30日 15時) (レス) id: 42e47a84ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とらこ | 作成日時：2023年5月24日 11時
