伍 ページ6
「ごめんよ作之助、急にこんな話をされたら驚いてしまうよね。」
作之助はポロポロと涙を流す。手は強く握られ体は硬直している。呼吸も少し荒い。そのうち過呼吸になってしまう。
私はそっと作之助を抱く。まるで壊れ物を扱うよう丁寧に。
「私はな、作之助が大好きだ。この世で一番架け替えのない息子で、私の心臓の一部とすら感じる唯一無二の大切な子なのだよ」
作「っ……ぼぐも、おがぁざんが……だぃすき」
「ふふ、ありがとう。作は何故を遊びに行かないんだい？」
作「おかぁさんと……一緒にいたいからっ」
「いつも一緒にいるだろう？」
作「でも、もしかしたら居なくなってっ……るかもしれない」
「なぜそう思うんだい？」
作「っ……よく夢を見るんだ。僕が独りになって。お母さんが……居なくなっちゃう怖い夢。」
「それは怖いね。だがな作よ。私が遊べと言うのはねまさにそういう事なのだよ」
作「……何が関係してるの？」
「然るべき時が来た時、人は1人では立ち直れない。その時友がいた方が幾分かましだろう。」
作「居なくなってしまうの？」
「左様。それはいつか分からんが絶対に来る逃れられん事だ。その別れは私からかもしれんし、作之助からかもしれない。」
作「僕はお母さんの前から居なくならないよ」
「作之助、人は永遠ではない。人の命は儚く、そして人のやる行いは時に残酷だ。病で死ぬ者もおれば、戦争に巻き込まれ離ればなれになってしまう者もいる。楽しい時間ほど儚いものは無い。……と言っても作には少し難しいかな？」
作之助は難しい顔をして首を捻る。その顔は眉間にシワがよっていた。
それもそうだ、この子にはまだ、別れもそして人の死も見たことが無い。口で言われてもイマイチ実感がわかないのだろう。
作「ねぇ、お母さん」
「ん？なんだ？」
そう言えばこの時には作之助の涙は止まっていた。その代わりに肌は赤く染まっていて、痛々しく少し腫れていた。
ああ……後で冷やしてあげなければ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為なので違反報告の対象になります (2018年4月1日 9時) (
レス) id: e85669c551 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來 | 作成日時：2018年4月1日 9時
