好きって言わない_3 ［yuta_t］

Chapter100 暖かい闇 ページ6

裕太「ん」









伸びてきた裕太の手









裕太「ほらー早くー！」









手を取り立ち上がったけど









急に女の子扱いされたみたいで
それが無性に照れくさくて









A「っていうか

どうすればそんなに

砂まみれになるの？」









裕太「わかんねーよ

必死だったから」









A「女の子相手に

少しくらい手加減しようという

気持ちが微塵も感じられない」









裕太「常に真剣勝負なの俺は」









A「だいたいそれ

海に来る恰好じゃないし」









裕太「・・・お前が言うなよ(笑)」







　
　
　


着替えを取りに車に戻って
海辺に設置された脱衣所で
塀１枚隔てて着替えを始めた裕太









私の服は払えば
きれいに砂は落ちた









裕太「うわっまじでひどいわ

・・・最悪だ」









ジーンズをバタバタとはらう音









その音と波の音だけが
響く静かな海









真っ暗な海をぼーっと見つめてると









裕太「・・・なんで？」









A「ん？」









裕太「なんで彼氏と別れたの？」









A「何(笑)？いきなり」









裕太「・・・別に

言いたくなかったらいいけど」









A「・・・。」









A「私が、就活とかで

いろいろいっぱいいっぱいに

なっちゃって・・・」









A「相手の事

思いやれなくなって・・・」









A「・・・まーいろいろだよ」









裕太「そっか」









バサッという音と共に
一瞬にして奪われた視界









A「うわっ！？

ちょっ、ちょっと！何？」









裕太「それ着とけ」









頭に乗ったそれを取って広げると
キラキラ光る大きな
ドクロがついたパーカー









A「これ知ってる！！

すっごい高いやつ！」









裕太「いいから着ろよ

寒いんでしょ？

・・・鳥肌たってたし」









見られたのかと
なんとなく恥ずかしい気分になり
うまく言い返す言葉が出ずに
黙って袖を通した









目の前にハーフパンツと
Ｔシャツ姿の裕太が現れて









A「ありがと」









裕太「ん」

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