97(マサイ) ページ10
ザカオや俺達の声に、石野が気がついてこっちに寄ってきた。
「マサイくんじゃない。」
石野の表情は、さっきの暗い雰囲気とは違う、至って普通な感じ。
ザカオが、アレ?って顔をしている。
シルクも同様の表情。
「また会ったな。」
とりあえず、笑顔を見せる。
微妙な空気感はどうしようもないけど。
「優也くんは……いないのね。」
さすがの俺でも分かる、石野の目が気味悪く変わった。
「武田に……会うまで探す気?」
シルクがそう言うと、
「あなたには関係ない話だわ。」
と、
石野はニヤリと笑った。
ああ、そうだ、と石野が手のひらを合わせる。
「優也くん、の彼女。」
すっごいニコニコしてる。
「凄く可愛いんだね!びっくりしちゃった!!」
私なんか全然適わないわぁって、そりゃもう笑顔、超笑顔。
チラリとみんなの方を見ると、ンダホとモトキはポカンとしてて、ザカオとシルクが眉間にしわ寄せてやばいもんを見てる顔してる。
はたと気がつく。
何でAさんの事知ってるんだ?
「石野……お前何考えてんだ。」
石野の表情が固まる。
そして、さっき遠目に見てた時の様な、暗い雰囲気に変わる。
「優也くんは……きっと私の事が好きなのよ?」
「はぁ?」
俺の反応にクスクス笑ってるけど、俺はゾッとしてた。
「あの女、優也くんを騙してるのよ。」
絶対に、許さないんだから。
ンダホが、ヒィッて思わず言ってしまうほどに石野の様子がおかしかったから、
「ダーマ、呼んでやるよ。」
と、俺は言った。
それがいいと思うって、
シルクも同意した。
「あんたさ、その背負ってるやつ、何とかしないと死んじゃうよ?」
どうやらダーマ恋しさに負の感情持ちすぎた故にみたいだけど、とシルク言う。
ザカオは
「これ、ヤバすぎ……俺帰りたい……」
と顔色最悪だし。
ンダホは変な感じがするってシルクにくっ付いてるし、モトキもボヤっと何かが見えるみたいだ。
「優也くん……が、来てくれるの?」
石野の表情が、ガラッと明るくなる。
連絡取ってみる、来るかどうかは分からんけど。
俺はダーマに連絡してみた。
事情を簡単に話すと、
しばらく沈黙してたけど、行くわ、って返事が帰ってきた。
「ダーマ、来るって。」
石野の顔が、ぱあっと明るくなって、シルク曰く、後ろのやつが見えなくなったそうだ。
つまりは、そう言う事なんだな。
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HANA(プロフ) - 奈々さん» わ!ありがとうございます!!楽しんで貰えたのなら書いた甲斐があります(´∀`)神は言い過ぎだけどwwwでも嬉しかったです! (2020年8月16日 0時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
奈々 - 最高!最高です!神ですか?神なんですね!とにかく高評価を押しまくってしまいました!今まで読んだ多くの作品中で一番好きな小説でした! (2020年8月16日 0時) (レス) id: 4abe5bda28 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - 絵里奈さん» レス遅くなってすみません。最高とか……照れるっっっ!!ホントにありがとう!!! (2018年10月6日 18時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - momomokakoさん» おりょりょりょりょりょりょ。今頃気が付きました、ごめんなさい。そう言って貰えるとホントに嬉しくて励みになります!ありがとうございます(´∀`) (2018年10月6日 18時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
絵里奈(プロフ) - もう、ダーマ様大好きw照れるとかツンデレすぎる所とか全部可愛い。最高の作品です!! (2018年9月26日 0時) (レス) id: 7327575a1a (このIDを非表示/違反報告)
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