雨に濡れても３【Fischer's】【ダーマ】

９１(ザカオ) ページ4

俺は滅多にシルクやマサイんちには行かないけど、たまに行く時はやっぱり楽しみだし、久しぶりな分、話題も沢山あって中身の濃い時間を過ごせる。


何より、フィッシャーズってのは、俺の親友の集まりだから、気の置けない連中と過ごすのはホントに気も楽で休まる。

動画云々じゃないんだよなぁ。


今日は時間が取れたから、シルクんちに行くことになってて、鼻歌交じりで歩いてた。


ふと、近くの公園のそばを通り掛かって、ああ、そう言えば、ダーマってここでAちゃんと出会ったんだよなぁ、いいよなぁ、可愛い彼女。


俺も出逢わねぇかなぁ、ショートカットの可愛い子に、なんて思いながら歩いて。



いつものように近道で公園を通り抜ける。


まだ時間が早いから遊んでる子供たちもいて、なかなか賑やかで。

俺達がよく鬼ごっこ動画を撮るアスレチックで、沢山子供が遊んでる。

うん、いいな、こういうの。


俺がアスレチック鬼ごっこいいなって思うのは、やっぱり子供たちには外で遊ぶ遊びを、楽しんで貰いたいって思うから。


俺達の動画をきっかけに、外で遊ぶようになったとか聞くとやっぱり嬉しい。


俺自身、子供の頃はよく外で遊んでて、そんでシルクやモトキに出会ってて。


それが今でも続く関係になるなんて思いもしなかったけど。


自分だけの世界に閉じこもらないでいて欲しいって思う。


なーんて、殆ど出てない俺が言うことじゃないけど。



気分よく歩いてると、

街灯の下に女の人が立ってるのが見えた。





見えた瞬間、

ゾクッとするものを感じて足が止まる。


あれ、これ、ヤダ、ヤバいやつだ。



ﾐｴﾃﾊｲｹﾅｲﾋﾄ



なんで足止まるんだよ、こういう時、ダッシュで逃げるの得意なのに、全然身体が動かない。


もしかして、

立ったまま金縛り？！


そう思った時、

街灯の下に立ってる女の人がゆっくり俺の方を見た。


顔立ちは、悪くない。

どっちかって言うと、可愛い方。

だけど、超絶顔色が悪い。

生気を感じられない。


俺の方を見てはいるけど、視線は何処か遠くを見ているよう。


ガタガタと身体が震えて、

冷や汗が流れる。


ヤバい、絶対ヤバい。

怖い怖い怖い怖い！！


その時、目の前にサッカーボールが飛んで来て、ポーンと弾んだ。


その瞬間、身体が弾けた様に動いて、俺は全力で走り出す。



振り返るな、絶対に！


そう言い聞かせながら、走り続けた。




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