雨に濡れても２【Fischer's】【ダーマ】

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何が起きたのか分からなかった。

目の前にダーマくんが現れて、凄くホッとして嬉しくて。

なのに……



「Aはお前にはやらねぇよ！！」


大輝くんが叫ぶ。

身体がワナワナと震えて、力が入らない。

大輝くんに抱き抱えられたまま、動けない。


唖然とするダーマくんが、目に焼き付く。

涙がボロボロと溢れて来て、

耳に、

大輝くんの笑い声だけが響いていた。


私、もうダーマくんに顔見せられない。

ダーマくんの目の前で、こんな、こんな事って！！



そう思った時、

「A！！」

ダーマくんが叫ぶ。

「こんなふざけた事、俺は認めねぇから！！」

俺はお前を諦めてねぇぞ！！

悲痛な声に、胸が締め付けられた。


そんなダーマくんに、

あとのふたりが向かって行く。

ダーマくん、もういいから逃げて！！



「間一髪。」

「間に合ったよ。」



シルクさんと、ザカオさんだった。

ダーマくんに飛びかかろうとしたふたりの手を、シルクさんと、ザカオさんが捕らえていた。


そして、ふたりが驚く。

「シルク？とザカオ？」

「おい、ヤバいやつじゃん。」


へーってシルクさんが笑う。

「俺らのこと、知ってんだ。」

「光栄だね。」

ザカオさんもニヤリと笑う。


大輝くんの手がほんの少しだけ緩んだ。

「何だよ、このふたりが何なんだよ。」


このタイミングで、私は大輝くんの手に噛み付いた。

「って！！」


大輝くんを振り払い、ダーマくんの元に走る。

ダーマくんは私の手を取ると、

「走るぞ！！！」

と叫んだ。



「シルク！ザカオ！！すまん、頼んだ！！！」


ダーマくんの声に、シルクさんとザカオさんが手を上げる。


私は走った。

もう無理、もう無理って思いながらもダーマくんに着いて走った。


途中で雨が降り出して、そこでようやくダーマくんが足を止めた。

呼吸が整うまで暫く黙ったまま。


それからダーマくんが振り向いて、私の顔をジッ見た。

「ゴメン。俺、Aを守れなかった。」

切なげに顔が歪む。


私はさっきまでの事を思い出して、また涙が溢れ出した。


「わ、私……ダーマくん、私……」

「何も言うな。」


そう言って、ダーマくんは優しく抱き締めてくれた。


私もダーマくんにしがみつく。




雨が降ってて、どんどん強くなって。


ふたりともびしょ濡れだったけど、


それでも私達は動かなかった。




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