雨に濡れても２【Fischer's】【ダーマ】

５７(ダーマ) ページ16

俺は動画を撮り終えて、ちょっと仮眠してた。

流石に身体がキツかった。

ゆっくり寝てるかな、ちゃんと休めてるかな、なんて思いながらウトウトしてたら、LINEの通知音。

速攻開いて、AからのLINEって事を確認。

スマホ持って直ぐに部屋の外へ出て、それからAに電話する。

ホントはすげぇ緊張してたんだけど、冗談言ったりなんかして、時間の約束をする。


部屋に戻るとシルクが

｢Aちゃん？｣

って聞いてきた。


｢答える義理はねぇし。｣


｢Aちゃんだな。｣

｢Aさんだね。｣

｢会う約束でもしたか？｣

｢デートだ、デート！｣

｢ダーマ。家帰っていいぞ。ちゃんとしてけ。着替えて、あ、コンタクトな。｣


はぁ？！なんでコンタクト？！

思わずそう言うと、

｢可能な限りのお洒落してくのがデートってもんだぞ、ダーマ。｣

初デートなら尚更。


ドヤ顔でシルクが言う。


そういうもんなのか……


ちょっと黙ったら、


「やっぱりデートだな。」

「だな。」

はっ！

ちくしょう、やられた！！

「ダーマ。」

マサイ呼ばれて、なんだよって言うと、

「いい子に出会えて良かったな。」


……ありがと。


「ダーマが素直！！何、可愛いんだけど！！」

「はぁ？！俺はいつでも素直だわ！！」

「それこそ、はぁ？！どの辺が素直だ？！」


マサイが目を剥いて、まるで猿みたいな顔して笑う。

シルクは腹を抱えて笑ってる。

一緒に笑って、なんかコイツらの有り難さみたいなもんを感じて。


「俺さ、今日Aに好きだって、言ってくる。」

シルクは、そうか、と言い、

マサイは、ちょっと驚いてでも、頑張れって言った。


なんか勇気もらった気がする。

背中を押してくれる仲間がいるって、ホントにすげぇって思える。


約束の時間に間に合うように家へ帰って、シャワー浴びて着替えて(お洒落とかは無理。超普段着)、コンタクトにして。


Aを見た時は、あんまりにも可愛くて言葉が出てこなかった。

普段は髪をキチンと纏めてるんだけど、下ろしててなんかフワフワになってて。


可愛い。

それしか思い浮かばない。


｢ダーマくんも、今日は眼鏡じゃないんだね。コンタクト？｣

聞かれてギグっとする。


｢聞いちゃ駄目……だった？｣

｢や、これは、シルクがコンタクトにしろしろ言うからっ！｣

｢……そうなの？｣


首を傾げる姿がまた可愛くて、何でもねぇよ！！って言うのが精一杯だった。

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