雨に濡れても【Fischer's】【ダーマ】

７(モトキ) ページ7

ものすごい勢いで飛び出して行ったダーマが、びしょ濡れで帰ってきた。


傘は？！タオルは？！上着は？！
お前どうしたんだよ、何があったんだよってシルクが問い詰めても、

頼むから聞かねぇでくれ、

の一言で、俺たちはそれ以上聞くことが出来なかった。


｢とりあえずさ、そのままじゃ風邪ひいちゃうよ？｣


と、風呂に入る事を勧め、シルクもそうだなってＴシャツとハーフパンツを用意してダーマに渡した。


ダーマはそれを黙って受け取ると、申し訳なさそうな顔をして。

でもやっぱり何も言わずに、脱衣場のドアを閉めた。



｢ダーマが自分で話せるようになるまで、待ってやろうよ。｣

｢ああ、そうだな。｣



そうは言うものの、風呂から上がってもなんだか上の空のダーマ。

後から来たマサイもンダホもペケたんも、あれ？って気がつくレベル。



ここはもしかして、俺の腕の見せ所かも。


｢ねえ、ダーマ。コンビニ行かない？｣

｢は？コンビニ？何で？｣


ニッコリ笑って見せ、イイじゃん付き合ってよと言う。


｢何だよ、めんどくせぇなぁ。｣

そう言いながらも立ち上がるダーマ。

ダーマはなんだかんだ言って断れないタイプなの分かってて誘い出す。

シルクに目配せして、シルクからも頼むな的な視線が返ってきた。


あんなに降ってた雨も止んでて、傘いらないねーなんて話しながら歩いて。

ダーマは相変わらず上の空。

だけど近くのコンビニで買い物した後、

ダーマの表情がちょっと落ち着かなくなった。

｢ちょっと寄り道……してぇんだけど、いいか？｣


あ、これきっと何か分かる、
と思ったからニッコリ笑って、いいよ〜とダーマについて行く。


やって来たのはいつもの公園。

ダーマは辺りをキョロキョロと見渡して、そして何やらホッとした表情。


ふーん。


｢ねぇ、ダーマ。｣


｢あ？ああ、悪かったな、遠回りさせて。帰ろうぜ。｣


笑顔、笑顔。


｢ここでなんかあったんだね。｣


ビシィっと凍りつくダーマの表情。


笑顔、笑顔。



｢話してくれるんでしょ？それで連れてきてくれたんでしょ？｣



笑顔、笑顔。


ダーマの表情は凍りついたまま。





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