雨に濡れても【Fischer's】【ダーマ】

２８ ページ32

通話を切って、しばらく呆然としてた。


武田さん、ダーマさんが食事に誘ってくれた。


徐々に実感してきて、顔がニヤニヤしてる。

いやーーー！！

ホントに？？

ホントにホントにぃ？！？！？！


足をバタバタさせて、そばにあったクッション抱きしめて、キャーキャー言って。



３か月前、

二股かけられて、

それの相手が親友で、

最低で最悪な時に出会ったダーマさん。



「まさかそのダーマさんに恋しちゃうとは思わなかったなぁ。」


節操がないと言えばそうなのかもしれない。

あれから３か月、もう？と言う人もいるかも。

しかも、会ったのはたった２回。



「恋は落ちるもの……とはよく言ったもんだ。」



私が一番びっくりしてる。



思えば、元彼のこと、ここまで好きだっただろうか。

うん、好きだったよ。

大好きだったよ。

だから、振られたくなくて、彼に合わせて自分を変えていった。

いつも顔色伺いながら、彼の興味はどこへ向いてるのかアンテナを張り巡らせて。

……彼は、そんな私が窮屈だったのかもしれない。



「ダーマさん……」


なぜだろう、ダーマさんにそんな気遣いとか無用と言うか、しちゃいけない気がする。

見透かされてしまう、気がする。



メガネの向こうにあるあの瞳は、


私をどんな風に見ているんだろう。




って言うか、

「ご飯に誘って貰っただけで、付き合ったような気でいる私って、どんだけお気楽なの……」


お礼って、言ってたじゃない、ダーマさん。


そしてまた思い出し、キャーキャーを繰り返す。


私って、案外めんどくさい子だったんだな。




キャーキャー言ってたらLINEの通知音が鳴って、

ディスプレイに武田優也の文字。



「え……ええ？！うええ？！」


慌てて開くと、


そこには可愛らしいスタンプ。



おやすみなさいのスタンプ。



思わず笑ってしまう。

こんな可愛いスタンプ、どんな顔して送ったんだろう。

きっと、あのムスッとした『照れ顔』に違いない。




クスクス笑いながら、

私もおやすみなさいのスタンプを送った。






.

２９(ンダホ)→←２７(ザカオ)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す