My sweet puppy!【アカギ】【男主】 (ページ5)

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『いやー……危なかった。死ぬかと思ったわ。』

結果から言うと無事に東京のアカギが借りているアパートまでたどり着けた。

破茶滅茶だった。こちらへ突っ込んでくる追手の車を踏み台にしてバイクを走らせ、運転をアカギに託し銃で車を撃ったりと、此処まで五体満足で辿り着けたのが不思議なくらいである。

途中でバイクを捨ててビルの上をぴょんぴょん飛びながら移動する所なんてアカギでなければ気絶していただろう。

『んじゃ、ここでお別れだな。』

すこし名残惜しそうに笑う阿妻。

阿妻は同年代の男性とこんなに長い時間一緒にいた事は無かったし、こんなに楽しいこともなかった。だから離れるのがすこし惜しいな。と思っていたのだ。

アカギはそんな顔素知らぬふりで部屋に入ろうとする。

「じゃあな」

『おう。じゃあな。もうあんまヤクザの賭場にゃ行く』

バタン、と阿妻は倒れた。

アカギはしばらく意味がわからず立ち尽くしていたが、すぐに阿妻を抱き起こし大丈夫かと声をかけた。

『………』

寝ている。

そりゃそうだ。九州から東京に車で一日一度も警戒を解かず、休憩もなく走り続けたのだから。

実はアカギと出会う前にも彼は3日、諸事情により寝ていなかった。4徹状態だったのだ。

よく見れば傷もある。そこまで深くはないが、ジャケットの下。腕に刀傷だ。まだ塞がってはおらず、雑に巻かれた包帯には血が滲んでいた。

こんな状態で自分を担いで走り回っていたのか?辛そうな素振りを一切見せずに?アカギは改めて、何故コイツは初対面の自分に対して此処まで出来るのかが不思議でならなかった。