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『………別にいいけど、怪我してもしんねーぞ?』
死んでも知らないではなく、怪我しても、か。死なせる気はないらしい。
ちょっとは戸惑うかと思ったが戸惑わずに軽く一緒に逃げることを了承してくれた。
「へぇ、てっきり断られるかと。」
『そんなこと思ってねーだろ。俺が了承すんの分かってて言ったくせに。………アカギ君、そこ危ないからこっち来な。』
グイッと強引にアカギを立たせ、自分の立っている廊下側へ引き寄せた。
次の瞬間、アカギが座っていた場所にドスッと銀色に光る刃物が床から突き出ていた。
『あーあ、やっぱりいやがったか。』
阿妻は銃を刃物が刺さっているあたりに向けて撃つ。
『殺れたかどうかはわからねーが…まぁ下にいんのは一人じゃねぇ。悪いが抱えるぞ。』
ひょいとアカギを横抱き……所謂お姫さま抱っことかいうやつで抱えて歩き出す。
「……おい」
『悪いけど首に腕回してくれる?片腕で銃持ちたいんだよね。』
アカギはこんな野郎に、いや、女でも嫌だが自分がお姫さま抱っこされている現状に文句を言おうと思ったが、なにせその抱っこをしている男のほうが真面目な顔をしているもので。
仕方なく、アカギは阿妻の首に腕を回した。
『ん。サンキュ。んじゃあこのまま逃げる。良いか?』
「ああ。」
『敵は見つけ次第殺すから目ぇ瞑ってろ。見ると大なり小なり傷になっちまう。』
アカギは別に、人が銃で撃たれたり刀で斬りつけられたりする所を怖いとは思っていない。それを阿妻に伝えると、良いから瞑ってろと被っていたバケットハットをアカギに被せた。
アカギは黙って帽子の裏側を見つめていた。
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作者名：ロス | 作成日時：2022年1月26日 0時
