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その日、とあるヤクザの賭場に、アカギの姿はあった。
三日月の綺麗な夜のことである。アカギはギャンブルをしにここまで来たのだが、どうやら先約がいたらしい。
どうぞ隣の部屋でごゆっくり。と、組員に部屋に案内された。アカギはごろりと横になり、ソイツのギャンブルが終わるのを待った。
『……………え。これ……………………』
「もういっぺん言ってみろ!!!!これはハイか、ローか!!!!」
何分か経った頃、隣の部屋……ギャンブルの真っ最中の隣の部屋から、怒号が聞こえた。
アカギは気になったのか、壁に頬をくっつけ、耳を澄ませた。
『はい。何度でも。ローです。前のカードは♤の2、めくって出た数は◇のＡ…よくご覧になられては?ほら、これが◇のＡだってよくご存知でしょう?
………あぁ、もしかして……もう24枚?もうずっとアンタらに出番をあげずに24枚も取られて、負けそうになっちまったからその銃と刀で脅して俺にハイと言わせたいのか?』
「テメェ…………!!」
______成程。相手の男はどうやら面倒なことになったらしい。
そういえば俺も昔こんなことがあったなと思い出しながら、アカギは壁の向こう側の話を聞く。
「まて駿!!お前らも武器下ろせ。駿はその刀下ろさなくていい。…小僧。もう一度だけ。いいか、もう一度だけだ。聞くぞ。おまえの答えを。」
『いいや、聞かなくていい。答えは変わらずロー。ローだよベイビー。この答えに不満があるなら、俺を斬るがいい。』
男は煽るように、そして自信満々にそう言った。
顔が伺えなかったのが残念だ。だが彼はきっと覚悟を決めた笑みを浮かべているに違いない。
「………もういい、殺せ」
冷たい声が聞こえた。
あぁ、あの男は此処で儚く死んでしまうのか。
残念だ、そう思ったときだった。
「ぎゃっっ!!!!!!」
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作者名：ロス | 作成日時：2022年1月26日 0時
