声をきかせて (ページ7)

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"行く行く詐欺って、、あー！悪かったよ！でも来たじゃねーかよ。"

"あのなぁー。俺いそがしいーの！曜日の感覚なんて忘れるっての。"

"あー？LINE？あー。たしかにあれを見たのもあるけど、ちょうど暇が出来たんだよ。"

"だから詐欺じゃねー。来たから！あーもうお前はひつこい奴だな。"

知らぬ間にあのまま寝てしまったのかたっぴょんの声が微かに聞こえて覚醒した。

電話でもしてんのかとゆっくりと頭を上げると

こちらに向き直ったたっぴょんが俺を見て

T "あ。起きたか。おはよ。"

なんて言うその手には電話なんて握られてなくて

たっぴょんの背後からは先程までピアノを弾いてた彼女の姿が見えた

T "ジヨンこいつスヨンって言うんだ。もしかしたら知ってるかもだけど。"

そうたっぴょんが俺を紹介した時彼女と目があった。

彼女は俺を見てはにかんだ笑みを浮かべた。

T "あ！スヨン！こいつがジヨン。俺の仲間。"

そう俺を紹介するたっぴょんに少しの違和感。

たしかにたっぴょんはなにかと興奮してる時はオーバーアクションをするけど、それとも違う。

彼女をみるとそんな戸惑ってる俺に気づいたのか苦笑いを浮かべていた。

G "ねぇ。たっぴょん・・・あのさ・・・"

そう言いかける前にたっぴょんは俺の言いたいことを汲み取ったのか

あー。なんて零して

T "うん。スヨンは

耳が聞こえないんだ。"

G "え・・・？"

T "ある日突然聞こえなくなったんだ。これがスヨンがドイツに行かずバイオリンをやめてここにいる理由だよ。音楽は諦められなくて今はピアノ弾いてる"

それで気づいた。

さっきたっぴょんが零した言葉。

"音のない世界ってどんなものか"

その言葉。

何も言えず呆然とする俺に彼女が笑った。

そしてたっぴょんに手話で何かを話すとたっぴょんが俺を見て笑った。

T "おまっㅋㅋㅋㅋ顔にテーブルの木目がくっきりついてるぞwww酒飲んで浮腫んでるからなかなか取れねーなそれwww"

G "え？え？"

また手話でたっぴょんに話す彼女

それを見てまた俺の方に向いて笑いながらたっぴょんが言う。

T "クククク。早く鏡見てこいってさ！"

なんかその会話に俺の入る隙なんてない気がしてそのまま大人しくトイレに行き鏡を見つめた。

確かに笑えるほどクッキリハッキリついた木目。

それを見て久しぶりに声を出して笑った。

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