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G "ねぇ。あれ彼女？綺麗な人だね"
皮肉めいてそうたっぴょんに告げた俺に
鼻で笑って
T "違う。昔からの友達。前から行くって行ってたのに中々来れてなくてさ。一人で来ても良かったんだけど、お前暇だろ？"
G "暇じゃないよ"
T "よく言うよ。毎日毎日飽きずにクラブに通い詰めのくせに。"
そんな話をしていると不意に聞こえたピアノのメロディ
優しいその音色
自然とそちらを見ると先ほどの彼女の凛とした横顔。
ドビュッシーのアラベスク。
その音色を聴きながらまた口をつけたウイスキー。
T "あいつさ。昔はバイオリン弾いてたんだ。
覚えてない？昔天才バイオリン少女ってよくテレビで取り沙汰されてたの"
俺たちがデビューを控えていた頃
毎日のように取り沙汰されてた女の子がいた。
美少女でバイオリンの腕はプロ並み
全く俺たちとは違うジャンルの音楽だけど
一度聞けば皆虜にするその音色とビジュアルに感心した。
G "で？その子がどうしたの？"
T "それがあいつだよ。"
G "え？でも確か・・・"
でも確かその後スカウトされてドイツの有名な音楽大学に留学したと聞いた。
その後少し悲しげにたっぴょんは微笑んでグラスに口をつけた。
T "あいつは・・・"
そうたっぴょんがいいかけた時
聞き覚えのあるメロディが聞こえてきた。
それは程よくジャズアレンジされたコジンマル。
それを聴いた時息ができなくて
コジンマル。
これが初めて俺が出したヒット曲だった。
あいつと付き合い始めた頃
酷く喧嘩をして、もう別れるかもしれないと思ったときに出来た曲
結局のところそのまま元の収まるところに収まり
過ごした2年。
その2年の期間で二人で過ごした日々が次々に思い出されて
それが涙となって溢れ出てきた。
それを見たたっぴょんは静かに肩を抱き寄せて
T "お前はもう少し自分に素直になれ。泣けばいい。怒ればいい。情けなく縋ったり、女々しく追いかけてもいい。もっと自分を大事にしろよ。俺たちがついてんだ！もっとわがままになっていいんだよ。リーダー！"
その言葉に涙が止まらなくなって
止まらない涙にしばらく顔を上げる事が出来なかった。
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作者名：怜奈 | 作成日時：2018年10月29日 1時
