声をきかせて (ページ38)

今日:16 hit、昨日:5 hit、合計:15,378 hit

38 ページ38

G "ごめん。待った?"

Y 『遅い。』

そう言った彼女はゆっくり立ち上がると

俺の方まで来て

俺の方におでこを当てると

静かに涙を流し始めた。

どれくらいそのままいたのか

陽の光が反射して川がキラキラ光っていた。

ゆっくり離れると

手で涙を拭いて

俺の目を見ないまま

Y 『あー。すっきりした。ありがとう。もう大丈夫。』

そう言って去ろうとする彼女の腕を掴んだ。

やっぱりこちらを見ない彼女の顔を覗き込んで

鼻をつまんだ。

泣いたせいで目は真っ赤で

鼻も赤い。

でも俺が鼻をつまんだせいで眉間にシワを寄せて露骨に嫌な顔をする彼女は

いつもの彼女だった。

G "何があった？"

Y 『別にー。』

G "何ー？あーあ。このシャツ高かったのに誰かさんの涙と鼻水てグシャグシャ。"

Y 『え？え？ごめん。クリーニング代。あ。どうしよう。』

G "プッ。慌てすぎwで、何があった？"

そういうと観念した彼女がポツリポツリと話始めた。

簡単に言えば自分が商売道具として利用されていたことを悟った事。

憧れていた人に裏切られたショックと

怒りでぐちゃぐちゃになったんだって

そして改めて気づいたんだって

自分にはハンディーキャップがある事。

それがある人にはビジネスのタネになるんだって

皮肉だって。

なりたくてなったんじゃないって。

そう話す彼女はすごく悲しそうな顔をしていた。

G "ねぇ。何か辛い事があれば言ってこいよ。抱え込むな。"

Y 『なんで？』

G "スヨンの辛い顔は見たくない。"

Y "友達だから？"

G "好きだから。俺がスヨンを友達としてじゃなく女として好きだから。"

そういうとびっくりしたような顔して

またまた！なんてはぐらかす彼女の手を掴んで

キスをした。

そう。それは自然に。

彼女が欲しい。

本能的に彼女を求めたんだ。

彼女が好き。

その気持ちに嘘はない。

それはあの頃から今も変わらない。

.