声をきかせて (ページ37)

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.スヨンジヨンくん。ジヨンくん。応答せよ。

不意に届いた彼女からのLINE。

いつもなら心踊るそのLINEも

重い気持ちのまま開いた。

ジヨン何?

スヨン私さ。ピアノのCD出すことになった。

ジヨンそっか。おめでとう

スヨンそっか?それだけ?

ジヨンおめでとう。友達として鼻が高いよ。心から祝福するよ。

スヨン心がこもってない。ってかさ、この間の人ジュンスさんって言って私がバイオリンしてた時の先輩でね。そりゃあすごい才能のあるバイオリニストだったの。私が耳聞こえなくなった時も相談乗ってくれてさ、手話も一緒に覚えてくれたのよ。で今はバイオリンやめて才能ある人とかのプロデュースしてるんだって。で、私もCD出して見ないかって

ジヨンそっか。頑張って。

それだけ送ると静かにケータイを伏せた。

天を仰いで

彼女を思った。

きっと嬉しかったんだろう。

憧れの人に認められて。

たとえそれがビジネスのための彼の優しさだったとしても

それを知らない彼女にとっては嬉しかったんだと思う。

それから数日して

再びなった携帯。

そこに浮かんだ"スヨン"の名前。

でもそこにはただ一言

スヨンジヨン。会いたい。

それだけ。

携帯を握りしめて飛び出した。

指定された場所は

あのバーでも

昼間彼女が弾いてるカフェでも

彼女の自宅でもなくて

河沿いにある公園。

そこのブランコに座っている彼女を見つけた。