声をきかせて (ページ29)

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あのBBQの日からしばらくして

怒涛の日々が始まった。

家に帰るのは着替えを取りに行くときぐらいで

今日はBIGBANG5人での撮影を終えて

久しぶりにまだ日の出てる時間に帰られる事に嬉しさを噛み締めながら

撮影場所からの帰り道車に揺られながら車窓を眺めていた。

今日は久々にスヨンのいるバーに行ってみようかとか

いや、でもちょっと寝たいかもとか

そんな事思いながらウトウトし始めた頃

視線の先に見慣れた赤い自転車。

交差点の先に自転車に乗る彼女を見つけた。

嬉しくなって自然と緩む頬を隠しながら眺めている自分に笑いそうになった。

青に変わる信号。

俺たちの進行方向は赤。

自転車のペダルに足を掛けて進み出した彼女を目で追った。

不意に聞こえたクラクション

信号無視のバイク。

そのクラクションは彼女の耳には届かなくて

G "スヨンッッ！！！！！！"

思わず叫んだ名前。

彼女に向かって真っ直ぐにバイクは滑るように進んで

耳障りなブレーキ音

歩道の段差にぶつかって止まったバイクはテールランプが砕けて

周りには割れた鏡とテールランプの破片が散らばって

響く悲鳴に耳を塞ぎたくなった

無情にも進行方向は青へ変わり

走り出した車

先ほどまでいた彼女の周りにたくさんの人だかりが見えて

それを目で追った。

G "・・・めて。止めて！！！"

喉が張り付いたように声が出なくて

叫ぶように無理やり出した声は震えていて

T "ジヨン？どした？"

俺の声に眠っていたメンバーも目を覚まして怪訝そうな目をしていて

G "スヨンが・・。"

その言葉しか発せなくて

T "え？スヨンがどした？"

G "マネヒョン！！！お願いだから止めてくれよッ！！！！スヨンが！！！"

俺の勢いに負けて路肩に止まった車を降りようとドアに手をかけた

マ "なんなんだ。急に。どした。"

G "事故った。今そこで！大切な人なんだよ！お願いだから行かせて！お願い！"

その言葉にメンバー全員が固まった。

たっぴょんは青ざめてて

震えていた。

俺が行くと騒ぎになるからってマネヒョンが現場に向かってくれたけど

この日ほどG-DRAGONとして積み上げて来た栄光なんて

糞食らえだと思った日はなかった。

車の中で拳を何度もシートに叩きつけて

爪を噛んで

血の味がして

震えるその手を抑える術を知らなくて

そのうち聞こえた救急車のサイレンに

目を閉じた。