【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

にじゅうろく ページ26

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「さねみおかえり！」


実弥が屋敷へ帰ると、ニコニコとしたAが出迎えてきた。

先程のお館様との会話を思い出し胸が痛くなるが、それを無視してAの頭を撫でる。


「ちゃんと飯食ったか？」


「うん！」


少し頬を赤くしたAが元気に頷く。

どうやらいつも通りに戻ったようだ。
少しほっとした不死川は、満足気に鼻を鳴らし、Aと共に居間へと向かう。



「ねぇ、さねみ」


「なんだァ？」


「さねみは、Aに触ったらどきどきする？」



つんつんと自分をつついたと思ったら、いきなりそんなことを言い出した。

若干驚いた不死川は、何故そんなことを…と思いながら首を横に振る。



「別にしねェ」


「そっか……」



するとAは、あからさまにがっかりした。

Aの真意をイマイチ掴めない不死川は、一人首を傾げる。



「いきなりどうしたんだァ？」


「……なんでもない」



不死川は、フイと顔を逸らす彼女の頬に手を伸ばした。


ぷに。

柔らかな感触を感じる。



「しゃえみ？」



大きな瞳が自分を映し出す。


ずっとこの瞳に映っていたい。
俺だけを映していて欲しい。



(それなのに俺は、コイツを手放そうとしている)




自分が抱えた大きな矛盾。

それが果たして正しいものなのかは、わからない。




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