【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

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「おい、お前いい加減大人しくしろォ!!お館様の前だぞ!!」


「ゔぅぅ!!」


「いいんだよ実弥。あまり強く抑え込まないであげなさい」


隠を前にして暴れ、お館様を前にして暴れる。
そんな少女に、不死川はピキピキと血管を浮かせながら激怒していた。

そんな不死川に抑え込まれた少女は、全く痛みを感じている様子はないが、酷く目の前の男を威嚇しているようだった。

部屋の隅に控えている隠が、恐ろしげにこちらを眺めている。


「……その子は言葉を理解できないんだね」


「その通りです。言葉を話すことも出来ません。人を見る度に威嚇する」


未だに低い唸り声を上げる少女は、キッとお館様を睨みつける。


「この様子だと、蝶屋敷で保護するのは危険だね………あそこは人の入れ替わりが多いから、きっとこの子の気も休まらないだろう」


「では、一体どこで……」


「隠に聞いた所によると、実弥の前では大人しくするらしいね」


「……お館様、まさか」


「頼まれてくれるかな、実弥」


お館様は、いつものように穏やかな表情で微笑んだ。

まさか、俺がこの女を？

チラリと自分の横にいる少女に目を向ければ、彼女は相変わらず威嚇を続けていた。

しかし、これはお館様のご用命。
断ることなど出来るはずがない。


「…御意」


深く頭を下げ、不死川はそう言った。


「ありがとう、実弥」


お館様の言葉が、心地よく耳に響いた。


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