【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

じゅう ページ10

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不死川が任務に向かった後、部屋の隅でビクビクしているAを見てから、三人は顔を見合わせた。


「どうするんだよ炭治郎、あの子、めちゃくちゃ怖がってるぞ？」


「……うーん」


「ふつーに勝負じゃダメなのか!?」


炭治郎が、それはダメだ、と伊之助に真顔で注意する。

しばらく考え込んだ後、炭治郎は急に床に腹這いになった。


「おい！どうしちゃったんだよ炭治郎!?完全にその体勢変質者なんだけど!?」


「いや、俺も山の育ちだから、父さんに聞いたことがあるんだ。野生の動物は自分より体勢が低い相手には警戒心を解くって」


「いやあの子人間だから!!に、ん、げ、ん！」


善逸の声を無視して、炭治郎はそのままAに近付いていく。


「もう知らないからな！」


ツッコミを入れるのを諦めた善逸が、最後に短くそう叫んだ。

しかし、体勢を低くしながら自分に近付いてくる炭治郎に、Aはゆっくりと彼に歩み寄る。


「え!?マジ!?」


驚く善逸と、その様子を無言で眺める伊之助。


「うー」


Aは小さく唸ると、炭治郎の前に座った。
そして、ニコニコと笑い出す。


「よしよし、良い子だぞ」


炭治郎に頭を撫でられて、Aは嬉しそうに手を叩いた。




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