アラニュエの森 (ページ9)

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#目覚めページ9

「あ、二宮。松本も目を覚ましたか」

二人が動いた気配に、櫻井が目を上げる。

「……櫻井先生？」
「先生ではない、櫻井だ」

ゆっくり体を起こした二宮と松本を見て、ちょうど部屋にいたサトが立ち上がった。

「え、誰」
「怖がらないで、ちょっと身体の調子を見るだけだから」

警戒する二宮を見てサトは微笑むが、どうやら二宮にはサトの言葉が分からないらしい。

松本も分からないらしく、櫻井の顔を見てきた。

「サト、言葉が分からないみたい」
「あれ？サクにかけたときに二人にもかかったと思ったんだけどな……もう一回かけるか。言語通訳」

言葉が分かってから聞くと、まるでそのままの呪文だ。

「どう？言葉、分かる？」
「え？あ、はい」

戸惑いながら頷く松本。

二宮も警戒はしているが、頷いた。

「櫻井さん、これは」
「安心して、助けてくれた人だから」

櫻井がそう言うと、恐る恐るではあるものの、警戒を解いた二宮。

「大丈夫？ちょっと手出してくれる？」

松本の方が話が通じると思ったのか、サトは松本に向き直る。

「手？」

不思議そうにしながら、松本が左手を差し出す。

その手にサトは右手を重ねて、目を閉じた。

ぱあっと松本の身体が光る。

サトは眉根を寄せてしばらくそのままにしていたが、少し経つと目を開けた。

松本の身体の光も消えていく。

その様子を、目を丸くして見ている二宮。

「元々、左足痛めてるの？」
「左足？あぁ、確かに痛めてたけど」
「治しておいたから」
「え？」

目を見開いた松本。

ベッドの上で足を動かしてみたらしく、呆然としている。

「本当だ、痛くない……」

今度は二宮に向かったサト。

「えっと、ニノ……ニノミ」

名前を呼ぼうとするが、どうも名前を覚えられないらしい。

「二宮です」

首を傾げているサトを見て、二宮の方から名乗った。

「ニノミヤさんね。マツ、と同じようにするだけ。痛くないから、手出してくれる？」

本当？と疑うように松本を見た二宮。

「痛くないよ。ちょっとあったかいな、くらい」

それを聞いて、二宮はおそるおそる左手を差し出した。

サトはその上に手を重ねて、目を閉じる。

ぱあっと二宮の身体が光る。

「わ、すごい」

思わずこぼれたサトの声に、櫻井も松本も首を傾げた。

すぐに二宮の身体の光が消えて、サトが目を開けた。